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川崎を絵本の街に 1000冊目標、保育園に寄贈呼び掛け

話題 神奈川新聞  2018年07月30日 10:36

絵本の提供を呼び掛ける小松さん=川崎市中原区
絵本の提供を呼び掛ける小松さん=川崎市中原区

 家庭の本棚に眠る絵本の寄贈を呼び掛けている青年がいる。川崎市内で読書普及活動に取り組む一般社団法人「ビブリオポルトス」代表理事の小松雄也さん(27)。寄せられた絵本は地域の保育園に届け、「地域の財産」として子どもたちに手にしてもらう。地元の中原区を中心に子育て世代の流入が進む中、絵本を地域の結び目にしたいとの思いも込められている。 

 川崎を絵本があふれるまちにしたい-。大志を抱き、まずは読書週間中の10月末までに千冊を集め、市内の40の保育園に寄贈することを目標に掲げる。

 「絵本は子どもが最初に出合う物語。手元に多様な作品がそろっていれば、それだけ可能性が広がる。何より貸し借りできるのが本の良さ」。手にした本が面白いと思ったら、共感を求める気持ちが芽生え、友だちに薦めたくなる。共感されたり、されなかったりしながら、それぞれが違う存在だと知っていく。読書は人生を豊かにし、社会をも豊かにする。確たる信念が活動の原動力だ。

 保育園への寄贈を思い立ったきっかけは、地元で保育士になった幼なじみのひと言。「絵本が不足している、と。保育園が急激に増えて予算が限られる中、後回しにされていた」

 子どもが大きくなり、手に取られなくなったままの絵本は少なくないはずだ。地域の子どもたちの役に立つなら、きっと進んで提供してくれる。そのアイデアは、読書離れを食い止めようと腐心する中で着想を得た。

 法人の設立は、面白い本を紹介し合う書評合戦「ビブリオバトル」に出合った大学時代の2014年。その普及に専念するため出版取次大手を1年で辞め、教員相手に講演したり、子ども一人一人の興味関心に沿った本を薦める選書図書運動を始めたり。今年、インターネットで資金を募るクラウドファンディングで児童養護施設に選書を寄贈すると自身の変化に気づいた。

 「『あの本、読んでくれているかな』と頭をよぎる。おいやめいに贈り物をしたおじさんの気分。子どもたちを親戚のように感じられるようになった」

 武蔵小杉駅前にはタワーマンションが立ち並び、ベビーカーを押す家族が行き交う。都心へのアクセスの良さから「住みたい街ランキング」上位の常連になり、地元の景色は一変した。一方で新旧住民の交流の薄さが気掛かりだった。「絵本のやりとりが出会いのきっかけになる。親しみが湧けば保育園を『騒音』に感じるような問題も起きない」。絵本がどの保育園に寄贈されたかを提供者に伝え、つながりを実感してもらえるようにした。

 絵本は寄贈者がメールで連絡後、小松さんの自宅へ郵送する仕組み。それでも「できる限り直接受け取りに行く。車の免許を持っていないので、範囲は限られるけれど」。顔の見える関係づくりはまず自分から、と自転車にまたがり街を巡る。「それぞれの地域で絵本を募ってくれる人も探していきたい」

 連絡のメールはkomatsu16yuya@hotmail.co.jpまで。郵送先は〒211-0041、中原区下小田中2の21の17の206。


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