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幻の映画「ひろしま」発見、相模原で上映 被爆者も参加

カルチャー 神奈川新聞  2018年07月29日 02:00

広島の原爆について語る山本紀美子さん
広島の原爆について語る山本紀美子さん

 原爆投下後の広島を生々しく描いた映画「ひろしま」。全国で広く公開されなかったため、「幻の映画」とされてきた作品だが、相模原市内でこのほど、古びた16ミリフィルムが見つかった。このフィルムを使った上映会が31日、同市南区の相模女子大学グリーンホールで開かれる。映画にエキストラとして出演していた被爆者の女性も訪れる予定で「広島で何があったのかを、映画を通じて多くの人に知ってほしい」と願う。

 「ひろしま」は1953年に製作され、子どもたちや教員、生き別れになった家族ら被爆者が描かれている。月丘夢路さんや山田五十鈴さんらが出演し、日本教職員組合が中心となって作られた。8万人を超える広島市民がエキストラとして出演した。


相模原市内で見つかった映画「ひろしま」の16ミリフィルムを手にする金子豊貴男さん
相模原市内で見つかった映画「ひろしま」の16ミリフィルムを手にする金子豊貴男さん

 上映会の実行委員会代表で相模原市議の金子豊貴男さんが5月、相模原教育会館(同市中央区)の棚に古びた16ミリフィルムを発見。このフィルムは少なくとも40年以上、上映されておらず、金子さんは「政治的な圧力から全国上映ができなかった。フィルムは各地で上映会を開くために送られてきたものだろう」と推察する。

 横浜市青葉区に住む山本紀美子さん(78)は13歳の時、エキストラの一人として作品に出演した。忘れられないのは、炎に追われた被爆者が川に入っていくシーン。山本さんは用意された泥を顔や服に塗り、白いブラウスを破り、実際に多くの人が亡くなった太田川に入った。

 近くにいたエキストラの男性は「熱いのう。熱いのう」と苦しそうに声を上げていた。山本さんは「誰にもせりふを指示されていなかった。火に追われた実体験があったから、真に迫った演技ができたのではないか」と振り返る。

 映画が公開されたのは原爆投下から8年後。広島でどのような被害があったのか、国内ですら広く知られていなかった。「映画に関わった人は皆、広島で何があったのかを多くの人に伝えたい一心だった」

 広島に原爆が投下された日、山本さんは5歳だった。爆心地から約2・3キロ離れた疎開先の家で、家族と出掛ける準備をしていると、まばゆい光で目の前は真っ白になった。数秒後、どーんという大きな音とともに、家のガラス、扉、屋根が吹き飛んだ。家族全員、大きなけがはなかったが、大やけどをしたおじが運び込まれ、しばらくして亡くなった。

 近くの神社の境内には、けがをした大勢の人が横たわっていた。生きている人にうじ虫がたかり、腐ったようなにおいが漂っていたことが忘れられない。焼け野原となった爆心地周辺もやはり同じにおいがした。「地獄のようだった」

 山本さんは「映画には、原爆によって多くの命が奪われる喪失感と平和への願いが描かれている。核兵器は二度と使ってはいけない」と言葉に力を込める。
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 上映会は午後3時からと同6時半からの2回開催で、同3時の回のチケットは完売した。当日券千円、前売り券は800円、高校生500円、中学生以下無料。映画はDVDとして販売されているが、「当時の雰囲気を伝えたい」と16ミリフィルムで上映される。問い合わせは、実行委員会電話042(741)0232。


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