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【核と平和・2013】歴史観に挑む(中)「非人道性」訴え 使命に自覚を

社会 神奈川新聞  2018年07月27日 18:57

核廃絶への署名を呼び掛ける高校生たち=2013年7月31日、JR桜木町駅前
核廃絶への署名を呼び掛ける高校生たち=2013年7月31日、JR桜木町駅前

 「核戦争がかっこいい、と思っている人がいた。衝撃だった」

 都立高校3年の広瀬ないるさん(18)は、留学で1年間を過ごした米国での体験に突き動かされ、「高校生平和大使」に参加した。被爆地の実態を世界に伝える若年層の語り手。8月後半にスイス・ジュネーブの国連欧州本部を訪れ、核廃絶への願いをスピーチする。

 広瀬さんの祖父は長崎に投下された原爆の被爆者だ。米国から帰国後、祖父の体験談に初めて真剣に耳を傾けた。「ジュネーブでも祖父のことを話します」。平和への思いとともに国連に届ける署名を集めるため、横浜市内などの街頭で声をからす。

 長崎市の市民団体が全国から選んだ20人の大使は、外務省が本年度に創設した「ユース非核特使」の役割も果たしている。それぞれの思いの先にあるのは、「核の非人道性」をめぐる議論の高まりへの希望だ。

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 核兵器が使われれば多くの人命が奪われるばかりでなく、想像を絶する被害がもたらされる。経済や気候にも、世界規模で深刻な影響が及ぶ。「人道的な見地」から、核の廃絶を訴えなければならない-。

 広島や長崎の被爆者や、彼らの意志を受け継ぐ若者たちが続けてきた訴えと重なる論調が近年、軍縮をめぐる国際論議の場でも聞かれるようになってきた。

 主導国はスイスやノルウェーなど。2010年のNPT(核拡散防止条約)再検討会議で約190カ国が採択した文書に、この表現が盛り込まれている。

 「軍縮の議題は核保有国が独占してきたが、核の人道性の議題は非核保有国がコントロールできる」。静岡で今春に開かれた国連軍縮会議で、スイス外務省で核政策を仕切るベンノ・ラグナー氏が説明した。

 今年4月にも、ジュネーブでのNPT再検討会議準備委員会に共同声明が提出された。「核兵器の人道的影響は核廃絶と不拡散を実現する上で中心となるべきだ」。賛同国は80カ国に達した。

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 だが、被爆国の日本は、この共同声明に加わっていない。

 米国の「核の傘」が実質的に北朝鮮などへの抑止力とされており、「日本を取り巻く安全保障環境と整合しない」と判断したためだ。

 横浜市のNPO法人ピースデポの湯浅一郎代表は準備委期間中、世界からジュネーブに集まった非政府組織とともに議論を注視していた。

 「日本には、核の傘への依存と核廃絶という根本的な矛盾から抜け出すための政策を示す責任がある。日本が動けば、国連加盟国にある程度の影響を与えるはずだ」

(2013.8.9、高橋 融生)


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