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現実を超えるイメージの強さ
三沢厚彦「ANIMALS IN YOKOSUKA」

カルチャー 神奈川新聞  2018年07月25日 10:20

三沢厚彦。新作のシロクマ「Animal2018-02」と一緒に
三沢厚彦。新作のシロクマ「Animal2018-02」と一緒に

 原寸大の動物の木彫作品で人気を集める茅ケ崎市在住の彫刻家、三沢厚彦(56)の大規模な個展「ANIMALS IN YOKOSUKA」が、横須賀美術館(横須賀市鴨居)で開催中だ。三沢は「動物を写実的に作ることは興味がない。感覚的なものに頼りながら作っていきたい」と創作姿勢を語った。

 シロクマやゾウ、トラにウサギ。いい香りがするクスノキに彫られたさまざまな動物の彫刻と絵画、陶器など旧作から新作まで約100点が並ぶ。作品が載る四角や丸い台座は、同館の建物の特徴である平たくて四角いシルエットや丸い窓の形にリンクしたという。「美術館から見える水平線の高さにそろえて並べたところもある」と三沢。

 どの作品も本物の動物そっくりではないが、圧倒的な存在感で場を占める。制作に当たって、実際の動物は見ないという。図鑑で大きさを確認する程度だ。

 「大作とか小品といった尺にとらわれず、原寸大だと彫刻としてフラットに向き合える。ゾウは大きく、ネズミは小さく。それぞれの特性やアイデンティティーも出る」という。

 「本物はそれ自体でパーフェクトな存在。わざわざ似せて作るのは、僕には意味がない。物を写す作業になってしまうから。それより、感覚的に頼りながらやっていきたい」

 動物たちの大きな瞳は「彫刻だから、空間を見ているように」と、あえて視線を定めないように作っている。その表情は、見方によってはやや不気味だったり、笑っていたり、とユニークだ。


新作の麒麟「Animal 2018-01」
新作の麒麟「Animal 2018-01」

 新作の麒麟(きりん)は、中国の神話に登場する霊獣。「人に対して、近いサイズにしよう」と意図。近寄って見上げると大きな顔が迫る。金色の角に白く立派な翼。がっしりした四肢。背後に回ると、意外にも両翼の間に小さな顔がある。「自由に楽しんだ」とほほ笑む。

 これまでにもユニコーンやペガサスといった想像上の生き物を作っているが、今後は積極的に取り組んでいきたいという。人が抱くイメージには、現実を超える強さがあると感じているからだ。

 「例えばクマ。本物はどう猛だが、テディベアやくまのプーさんなどの影響でかわいいイメージがある。多くの人は、クマから受けるミックスしたイメージ像を持っており、こうしたイメージは、実際のリアルな動物を凌駕(りょうが)してしまう。そこが面白い」

 「十何年やってきて、ミックスされたイメージを表現するのが面白くなってきた。やっとそういう気持ちになった」と明かした。

横須賀美術館
 9月2日まで。8月6日休館。一般900円、高校・大学生・65歳以上700円。問い合わせは同館電話046(845)1211。


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