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同性愛を周囲の視点から 【カランコエの花】

カルチャー 神奈川新聞  2018年07月23日 19:12

 「LGBTは病気ではありません」。とある高校2年のクラスで突如始まった「特別授業」。その唐突感は、生徒の疑念を抱かせた。「もしかしたら、うちのクラスにいるんじゃね?」

 レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字で性的少数者の一部を指すLGBT。社会の認識はまだ過渡期といえる中、映画「カランコエの花」は一種の新鮮さを放つ。同性愛を巡る問題を、当事者よりも周囲の視点に立って描いているからだ。

 「本当にいるってこと?」。クラス内に広がる動揺と戸惑い。当事者の頰を伝う涙。ときに集団の圧力を感じる学校特有の閉鎖的な空気が痛いほど伝わってきて、息が詰まりそうになる。

 善意が人を傷つけてしまうこともある、との厳しい現実を見る者に突きつける。少数者に「過剰な配慮」をしてはいないか、映画は異なる他者との向き合い方や社会のあり方をも問い掛ける。答えは一人一人が自ら思考し、導くしかない。あなたの隣にも、私のそばにも、当事者は存在するからだ。

 カランコエの花言葉は「あなたを守る」。その花に似た赤いシュシュを、主人公の一ノ瀬月乃(今田美桜)=写真左から2人目=が涙ながらに外す場面が胸を打つ。生徒たちの自然な演技が、無邪気で繊細な高校生の姿をリアルに伝えている。エンドロールの美しさも必見。


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