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沖縄考 記者の視点=報道部・田崎基
時代の正体〈620〉圧政の辺野古(下)「差別」を許さぬ民意

時代の正体 神奈川新聞  2018年07月23日 11:00

署名を求める「辺野古県民投票の会」の阿波根さん(右)=6月30日、沖縄県名護市
署名を求める「辺野古県民投票の会」の阿波根さん(右)=6月30日、沖縄県名護市

【時代の正体取材班=田崎 基】蒸し暑さを少しだけ拭うように海風が吹く。沖縄本島北部の名護市街から沿岸の道路を北へ10キロほどのスーパーマーケットの前で、タオルを首に巻いた阿波根(あはごん)数男さん(69)=沖縄県名護市=がいた。買い物に訪れた人々に声をかけていた。

 「辺野古の埋め立てについて、県民に賛否を問う投票をしようと思っています。署名お願いします」

 署名をしたばかりの初老の男性に私は尋ねた。

 「なぜ署名したのですか?」「辺野古の基地建設についてどう思いますか?」

 配慮を欠いた問いを発したことをすぐに気付いた。

 男性は目を見開き、言った。

 「沖縄がどれだけ踏みにじられているか分かっているのか」。私の心をのぞき込むように続けた。

 「女性や子どもまでが、米兵にうち捨てられるかのようにされているんだ。戦時中の話じゃない。今も変わらず、つい最近もそうだ。言いたかないが、本当はもうアメリカ人を見るのも嫌なんだ」

 2016年4月、本島中部のうるま市で、ウオーキング中だった20歳の女性が暴行され刃物で刺されるなどして殺害され、山林に遺棄された。逮捕された男は元米海兵隊員で、嘉手納基地内の会社に勤める軍属だった。殺人などの罪で17年12月に無期懲役の判決が下され、控訴している。

 1995年には米兵3人が少女を暴行する事件が起きた。沖縄県警は逮捕状を請求したが、日米地位協定によって起訴前に3人の身柄が日本側に引き渡されることはなかった。

 戦前、戦中、戦後、そして今も基地あるが故の被害が続く。日本の国土の0・6%の土地に在日米軍専用施設の7割が集中し、被害もまた集中する。16年12月には米軍普天間飛行場(宜野湾市)所属の輸送機MV22オスプレイが名護市の浅瀬に墜落した。17年12月には同飛行場に隣接する小学校の校庭に米軍ヘリの窓枠が落下し、男児1人がけがを負った。

 太平洋戦争末期には本土防衛の捨て石として国内で唯一の地上戦を強いられ、県民の4人に1人が犠牲となった。そして今も米軍基地という不条理を押しつけられ、反対の意思は蹂躙(じゅうりん)され続けている。

 「お前、分かってるか」

 男性の問いが私の耳底から消えない。

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