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試練〈下〉湘南J2降格 好選手育成、来季へ光

スポーツ 神奈川新聞  2016年10月24日 15:39

天皇杯の3回戦徳島戦でプロ初ゴールを決めて喜ぶ湘南・斉藤=9月、BMWス
天皇杯の3回戦徳島戦でプロ初ゴールを決めて喜ぶ湘南・斉藤=9月、BMWス

 J2降格が決まった湘南の選手が口々に言った残留と降格を分けた「あと少し」の差を埋めるべく、若手は育ってきている。9月22日、天皇杯全日本選手権3回戦の徳島戦。「ヤング暴れん坊」の象徴といえる17歳が輝きを放った。

 2-0の後半5分、鋭い右足シュートを突き刺し、初ゴールを奪った。5月にプロ契約した高校3年生でU-18(18歳以下)日本代表にも選ばれている斉藤未月だった。

 「何回かミスもあったけど前に前に行けた」と充実感に満ちあふれた表情で語ったMFはユース育ちのホープ。昨季も2種登録され、各年代の日の丸も背負ってきている。その歩みは今季浦和に移籍し、今夏のリオデジャネイロ五輪でキャプテンマークを巻いた横浜市出身の遠藤航とも似ている。

 「まさかこういう形でプロになるとは思っていなかった」と予想外のトップへの昇格に驚きながらも、ピッチで臆した様子はない。ここまでリーグ戦5試合、カップ戦5試合に出場。「持ち味のボールを奪うところだったり、前(の選手)に(ボールを)当てて飛び出すことはできている」。J1レベルを肌で感じた経験は来季きっと生きてくる。

 ただ、伸びているのは斉藤や青森山田高出身の新人神谷優太といった若手だけではない。けがに苦しみながらチーム最多4ゴールを挙げているのは、J1横浜Mでくすぶっていた加入1年目で26歳の端戸仁だ。

 奪う、走る、仕掛ける-。どれも積極性が共通する「湘南スタイル」にどっぷり漬かり、「サッカーの楽しさを再認識した」と少年の笑みを浮かべる。チョウ貴裁監督がつくる一体感と競争力は、選手を成長させているのは事実だ。

 2年前にJ2で優勝した先発のうち遠藤、永木亮太(鹿島)、丸山祐市(FC東京)が日本代表に名を連ねた。J1でこの2年間で示した積極果敢なサッカーは技術不足の面はありながらもエンターテインメント性、何より気迫に満ちていた。過去の苦境を乗り越えてきた真壁潔会長は、そこにクラブの存在価値を見いだしている。

 「チョウ(貴裁監督)は、選手を強くするためのサッカーをすると言ってやってきた。勝った負けたがある中で、同じことを繰り返しているクラブが日本に一つくらいあってもいい。僕らがやりたいのは、皆さんに拍手してもらえるサッカー」。生え抜きがビッグクラブに引き抜かれようとも、それに代わる好選手をまた育て、不変なスタイルのサッカーを貫いていく。降格に伴う選手流出や予算規模の減額などの影響は避けられないものの、真壁会長はそこに光を見ている。

 もがき、つまづき、それでも前を向く。湘南は試練を乗り越えてまた強くなるはずだ。


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