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「夢つかむ姿見せたい」 白石さん、鎌倉の施設児童と交流

話題 神奈川新聞  2016年10月24日 02:00

鎌倉児童ホームの子どもたちと談笑する白石さん(右)=鎌倉市佐助
鎌倉児童ホームの子どもたちと談笑する白石さん(右)=鎌倉市佐助

 海洋冒険家の白石康次郎さん(49)=鎌倉市=が、地元の児童養護施設の子どもたちと交流を続けている。11月には約80日間の世界一周ヨットレース「バンデ・グローブ」に悲願の初出場。憧れ続けた世界最高峰レースのスタートを子どもたちに見せようと寄付を呼び掛け、フランスまでの渡航費約300万円が集まった。幼くして母親を亡くした自身の経験を重ねつつ、子どもたちに伝えたいメッセージがある。「行動すれば幸せをつかめる。俺の背中を見てほしい」

 鎌倉児童ホーム(同市佐助)には、親と暮らすことができない2歳から高校3年までの子どもたち73人が生活する。10月上旬の土曜日、レースを1カ月後に控えた白石さんが姿を見せた。

 「無事帰還を祈って乾杯!」。秦晴彦施設長(44)がジュースの入ったグラスを掲げ、“激励会”が始まった。「フランスでマカロン買ってきて」「ヨットから落ちちゃった人っているの?」。女の子たちの止まらぬおしゃべりに気押されつつ、「お土産買ってくるよ」「ヨットで死んじゃった人もいるよ」と白石さんは優しく応じた。

 交流が始まったのは2年ほど前。講演活動で全国各地の児童養護施設を訪れる中、地元にも施設があると知った。

 白石さんがボランティアとして関わりたいと申し出ると、「大人に見捨てられるような体験をした子もいる。細い糸でもいい。成長を見守り続けてほしい」と秦施設長。「自分もそのつもりだった」と振り返る白石さんは、いまも変わらず「本当の息子、娘」として接している。毎月2、3回、ふらりと顔を出し、お菓子を差し入れたり、食事をしたり、せがまれてカラオケに連れて行ったり。伊豆大島での高校生のヨット乗船は毎年夏の恒例だ。

 今夏はバンデ・グローブの準備でヨットに乗せられない。そこで子どもたちにレースのスタートを見せようと思い付く。友人に寄付の呼び掛けを頼み、施設の高校生と卒業生計7人分の渡航費が集まった。お礼の気持ちを込めて、子どもたちは協力してくれた店舗や施設で仕事を手伝った。

 「白石さんがホームに来る日は楽しみ。学校から早く帰るようにしている」。そう話す女性(16)は「初めての海外。白石さんはよく『夢はかなう』って言うけど、かなえたいという気持ちと、そのために自分で動く力が必要だと実感した」。男性(17)も「白石さんみたいに、駄目かもしれないけどやってみようという気持ちを持ちたい」。

 白石さん自身も小学1年の時に、交通事故で母親を亡くした。「何もかも自分でやるしかなかった。運命を受け入れて、元気で、明るく、前向きに生きてきた」

 レースのスタートは11月6日。子どもたちは3日に日本をたつ。

 「自分が輝くことで『人生は最高だよ、世界は広いよ』と伝えたい。自分を幸せにできるのは自分しかいない。だから『こうやって夢をつかむんだ』と、背中を見せたい」


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