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「女性米兵癒やしたい」 横須賀どぶ板通りロシア人エステ人気

経済 神奈川新聞  2018年06月23日 11:00

「女性兵士を癒やしたい」と話すアンナ・ツィスリツカヤさん =横須賀市
「女性兵士を癒やしたい」と話すアンナ・ツィスリツカヤさん =横須賀市

 米海軍横須賀基地のお膝元・どぶ板通りに、米兵に人気のエステティックサロン「Anna Victoria Spa(アンナ・ビクトリア・スパ)」(横須賀市本町2丁目)がある。サロン代表でロシア出身のアンナ・ツィスリツカヤさん(35)は、人種によって異なる肌質や毛質を見極めながらの的確な施術と、その高い技術力から、多くの米兵の信頼を集める。アンナさんは「ストレスが多い女性兵士を癒やすのが私の仕事」とほほ笑む。

 サロンは、2008年にオープンした。顧客の大半は米兵で、男性兵士も訪れる。艦船が基地に入港した際には予約が殺到し、船上からも来店希望のメールが送られてくるほど。来日したばかりの顧客が「米国で評判を聞いた」と訪れる例もあり、女性兵士や米兵の家族の間では知られた存在だという。

 アンナさんは父親がポーランド人、母親がロシア人で、南ロシアのクラスノダールで生まれ育った。幼い頃はアトピー性皮膚炎だったが、祖母がハーブによる美容法を教えてくれたことで症状が改善したという。「それをきっかけに美容に興味を持った」

 大学で歴史の教員免許を取得したが美容への興味は捨てがたく、エステの専門学校で1年間学んだ。折しもロシアは和食などの日本文化がブーム。日本に憧れ、05年に来日した。やがて、現在、サロンを運営するアンナ・ビクトリア・ジャパン合同会社の石田泰代表(49)と知り合い、共同で夢だったエステサロンを開店した。

 開店に当たって日本でもエステの専門学校に通い、当初は日本人をターゲットにしていた。だが場所柄、米兵が訪れるようになり、口コミで評判が広がると、顧客の大半は米兵が占めるようになった。

 時に数カ月という長期間を船内で過ごす兵士らは、ストレスによるシミやニキビ、吹き出物に悩まされているという。フェイシャルの顧客には、食生活や洗顔回数などを細かくカウンセリングし、電気を使って肌を洗浄。ホームケアの助言など、サポートも重視する。

 仕事では女性らしい格好をすることが許されない女性兵士も、「女の子に戻れる時間が欲しいんだと思う。こちらもきれいにしてあげたくて真剣」とアンナさん。相手の肌や毛の様子を見ながら試行錯誤で技術を磨き、特にワックス脱毛では全国で講師を務めるまでの技術を習得した。アンナさんは「毎回、『どうしよう』と冷や汗をかくような思いをし、悩みながら施術をした。でもおかげさまで勉強になり、今の私がいる」と振り返り、石田代表は「多様な人種に施術したことで、レベルが上がったのかもしれない」と話す。

 東日本大震災後には米兵が国外退去となり、顧客がいなくなるという苦しい時期もあった。だが現在は、忙しい日々を送る。アンナさんは今後、後進への教育に力を入れたいという。「今まで自分が勉強してきた技術や教えてもらったことを若い人に伝えて恩返ししたい」。そして夢をこう語った。「おばあちゃんに教えてもらったハーブのことや学んできた技術を込めて、日本人、アメリカ人のために化粧品を作りたい。一番最後の夢です」


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