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名将特別対談 103/100
原点を今こそ球児に 野球はルールある遊び 渡辺元智×藤木幸夫

高校野球 神奈川新聞  2018年06月19日 02:00

神奈川の野球の発展に長年尽力してきた藤木(左)と渡辺が、高校野球の魅力を語り合った=横浜市中区
神奈川の野球の発展に長年尽力してきた藤木(左)と渡辺が、高校野球の魅力を語り合った=横浜市中区

神奈川の野球の発展に長年尽力してきた藤木(左)と渡辺が、高校野球の魅力を語り合った=横浜市中区
神奈川の野球の発展に長年尽力してきた藤木(左)と渡辺が、高校野球の魅力を語り合った=横浜市中区

 横浜の戦後復興を担い、神奈川の野球の発展を陰ながら支えてきた。「自分の人生があるのは野球のおかげ」と語る県野球協議会会長・藤木幸夫(87)。野球を愛してやまない「ミナトのせがれ」と、その藤木を「人生の師」と慕う横浜前監督の渡辺元智(73)が、100回大会の節目を前に、神奈川高校野球の足跡を、そして未来を語り合った。

=敬称略

野球にありがとう


 藤木 元さん、この国は野球をやってて本当に良かったと思うんだ。野球はそれぐらいすごいもの。

 毎年、野球協議会で小中学生を横浜スタジアムに集めて総合開会式をやるんだけど、今年は500チーム近くが参加した。そこで話すんですよ。「こんなに朝早くからユニホームを着て野球ができて、君たちは幸せだ。みんなでありがとうを言いましょう」って。

 渡辺 私は今、講演などで全国を回りますが、会長の尽力があり、神奈川では子どもたちにそうした思いが浸透していると感じます。

糸で縫ったボール


 藤木 私が元さんと出会ったのは、元さんがまだ横浜でコーチになった頃。

 渡辺 まだ田丸さん(法政二)の影響力が大きくて、原さん(東海大相模)がいらっしゃって、そのはざまで苦労している時に会長と出会ったんです。

 藤木 東海大相模って、よく知らなかったけど、ゴルフをやりに相模原に行くとグラウンドで大きな声が出ていて活気があって、ああこれが相模かと思いましたよ。木本君(武相)とか古屋君(横浜商)とか、個人的にお付き合いさせていただきました。私たちの時代は、野球をやってるのは不良ばっかりでね。

 渡辺 そうですね。もうエネルギーが有り余っていて、いまほどいろいろある時代じゃないから、一つのモノを追い求めている。

 藤木 私が神奈川工を卒業する直前の昭和22年、キャプテンだったんだけど、その頃は200人新入生が入ってくると、ほとんど全員が野球部志望。野球の人気がすごかったんだね。川上哲治、大下弘の時代。

 渡辺 赤バット、青バットですね。

 藤木 戦争中、勝つんだ勝つんだ、学校なんてどうでもいいんだって言われて。それが終戦でガラッと変わるんだよ。15歳で価値観がガラッと変わってしまって、それで腹の立たない人がいますか?
 渡辺 その怒りは一歩間違えば、とんでもない方にいってしまうでしょ。そこで野球があって。会長は野球が恩人だとおっしゃる。

 藤木 そう。恩人だよ。戦後の話をしても、今の人にはなかなか分からない。私は中学で野球部に入って、先輩が毎日バッグを持って蹴って渡す。そこには破れたボールがたくさん入っていて、それをたこ糸で縫うんですよ。毎晩毎晩、夜中の2時ぐらいまで。

 渡辺 われわれの時代までそうでした。会長のような先人たちがまだ元気でおられる時に、ボールを自分たちで縫ったという野球の原点を改めて今の球児に知ってもらい、考えてもらう。それが神奈川の高校野球の発展につながるんじゃないでしょうか。

勝利以上の何か

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