横浜市立大岡小学校(横浜市南区)の児童が、約130年の歴史がある染め物「横浜捺染(なっせん)」の製法を取り入れたバンダナを作った。下火になったハマの伝統を後世につなぐ試みで、OBや町工場、地元出身のデザイナーらが協力。横浜開港160周年に合わせた壮大な「社会勉強」となった。
「横浜の小学生とプロが手を組んだオール横浜バンダナ」「このバンダナであなたもはまっ子に」。色鮮やかなポップが来店客の足を止める。東急ハンズ横浜店(同市西区)。児童の手作りバンダナ(税込み1500円)を手に取った客が一人、また一人と買い物かごに入れていった。
1枚のバンダナに「横浜の魅力」を凝縮した。ランドマークタワーやベイブリッジ、ベイスターズやマリノスのロゴまで。児童が描いたイラストが温かみを演出する。同校5年1組の28人が「総合的な学習」で1年間を掛けて作り上げ、児童(11)は「クラスのみんな、支えてくれた人たちの思いが詰まっている。一人でも多くの人に横浜捺染を知ってもらいたい」と目を輝かせた。
捺染の伝承に取り組む同校OBの一言がきっかけだった。「協同組合ギルダ横濱」の事務局長、内藤信義さん(78)は3年前から、同校を卒業する後輩たち全員に「横浜三塔」をデザインした横浜捺染の手ぬぐいをプレゼントしてきた。
内藤さんがふとこぼした。「捺染の衰退は止められないんだよ」。益山正広教諭(43)が「うちのクラスでぜひ、協力させてください」と名乗りを上げた。
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横浜開港160年の節目だった昨年4月、捺染のスカーフを手に内藤さんが講師として教壇に立った。「昔は大岡川は赤や黄の染料で染まったりしたよ。手作業で作るから、世界に一つの商品なんだ」