群馬県嬬恋(つまごい)村出身で生糸貿易を通じ横浜開港に貢献した豪商・中居屋重兵衛(1820~61年)の生誕200年記念の特別企画展が4月2日から、村営の嬬恋郷土資料館で始まる。村と友好交流協定を結ぶ横浜市中区と横浜開港資料館が協力。浦賀への黒船来航を機に国防強化を掲げ執筆した火薬専門書「集要砲薬新書」(1855年)など、貴重な史料が公開される。
中居屋重兵衛は、旧上野国吾妻郡中居村に名主・黒岩幸右衛門の子として生まれ、身を立てようと20歳の頃に江戸に出た。「日本化学の祖」とされる蘭学者・川本幸民らに師事。さまざまな図を用いた「砲薬新書」を世に出したのと同時期に、商家で働く心得を説いた「処世訓子供教草(おしえぐさ)」も出版するなど、マルチな才能を発揮した。
横浜では開港の1859年に中居屋を開業。主力商品の上州生糸が高品質であったことを追い風に扱い量や売り上げを伸ばし、最盛期には生糸全輸出量の過半数を占めたとされる。