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外出自粛要請後の横浜 花見客まばら、商品は品薄

社会 | 神奈川新聞 | 2020年3月28日(土) 11:43

桜が見ごろを迎えながらも空席が目立つこども自然公園のバーベキュー広場=27日、横浜市旭区
桜が見ごろを迎えながらも空席が目立つこども自然公園のバーベキュー広場=27日、横浜市旭区

 新型コロナウイルスの感染拡大が、暮らしに影を落としている。黒岩祐治知事による今週末の外出自粛要請から一夜明けた27日、横浜市内を巡った。人々に笑顔はなく、咲き誇る桜もどこか寂しげだった。

 平日の昼下がり。満開の桜がやわらかな陽光を受けながら、春風に揺れていた。こども自然公園(横浜市旭区)は約400本の桜が並ぶ花見スポットだが、人影はまばら。ピーク時には満車になる約450台分の駐車場は空車が目立った。

 区内に住む主婦(33)は駆け回る小学生の娘2人に視線を向けつつ、葛藤していた。「楽しんでくれたから良かったけど、正しかったのかな」。前夜のテレビで県内外の自治体による花見自粛要請のニュースに触れたばかり。後ろめたさを感じるが、「家の中にいるとストレスで押しつぶされそう。週末はどう過ごせばいいのか…」。

 「1年間で今が1番のピーク。どうしてこんなときに…」。園内のバーベキュー広場を管理する小瀬村英明さん(64)は、恨めしそうに桜を眺めた。例年、30組分のバーベキュースペースは開花に合わせて予約で埋まるが、この日は1組だけ。前日までは見物客でにぎわっていたといい、「知事の要請の影響が大きい。土日はどうなってしまうか…」と頭を抱えた。

 公園近くのスーパーに足を運び、ようやく人波に出会った。店内に足を踏み入れると、おわびのアナウンスが流れる。「一部商品で欠品が相次ぎ、ご迷惑をおかけいたします…」。納豆や牛乳、カップラーメンなどが品薄に。空っぽになった卵の棚を前に主婦が立ち尽くす。見かねた男性従業員が「午前中で売り切れました。明日はたくさん入荷します」と頭を下げた。

 先の見えない不安が街を覆い、人々を沈ませる。

 自宅にはいたくない、でも行く場所もないのだろうか。保土ケ谷区内の喫茶店は客でごった返していた。

 「夫が感染したら収入が途絶える」「家のマスクがもうなくなる」。女性客の話題は新型コロナウイルスで持ちきりだった。ラフな服装の男性がノートパソコンを前に疲れ果てた様子を浮かべつつ、携帯電話でやりとりをする。「自宅勤務は無理ですよ。家だと子どもがいて集中できません」

 「さくらの街」を掲げる弘明寺商店街(南区)では、桜の名所・大岡川沿いを舞台にした恒例の「南区桜まつり」が中止になった。客足は一時遠のいたが、桜の開花とともに、にぎわいが戻り始めた矢先の自粛要請。商店街の担当者は「この週末、影響は全く分からない」と気をもむ。

 集団で密集した生活を余儀なくされる人たちも、感染拡大を防ごうと踏みとどまっている。120軒以上の簡易宿泊所が集い、高齢者を中心に約5700人が宿泊する寿地区(中区)。この日は地域の公園で定例の炊き出しが行われ、宿泊者やホームレスの人たちが長蛇の列をつくった。

 横浜市寿町健康福祉交流協会の担当者によると、地区内で感染者は確認されておらず、「介護や福祉、医療関係者が連係し、対策に取り組んだ成果」。この地で30年近く暮らす70代の男性は、地区内の施設で楽しんでいた趣味の将棋が禁じられた。濃厚接触を防ぐためで、手持ちぶさたの日々。「代わりに散歩でもして、健康に気をつけたい」

 
 

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