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【KーPerson】石丸幹二さん
人々の心の再生描く 癖ある役に向き合う

K-Person 神奈川新聞  2018年06月03日 10:05

石丸幹二さん
石丸幹二さん

石丸幹二さん

 厚木市文化会館で7月に行われるミュージカル「シークレット・ガーデン」で、めいのメアリーを引き取るアーチボルドを演じる=写真はチラシ。

 「妻を亡くして以来、精神的にも肉体的にも傷を負い、現実に向き合えずにいる人物。俳優としても一人の人間としても、ある程度キャリアを重ねていないと演じきれない役で、こうした役を演じるようになったことが感慨深い」と語る。


「シークレット・ガーデン」チラシ
「シークレット・ガーデン」チラシ

 原作は英国の作家バーネットによる小説「秘密の花園」。両親を亡くし、伯父に引き取られたメアリーが、閉鎖された庭を整備しながら、周囲の人々の心の扉を開いていく物語だ。映画やドラマ、アニメ化もされて親しまれている。

 今回はブロードウェー版の翻訳上演に当たり、1993年に来日公演を、東京の新橋演舞場で観劇したという。

 「当時は20代後半で、ミュージカルを始めて3年目の頃。まさか自分が出演する日がくるとは思っていなかった。今、こうして癖のある役に向き合えるのはうれしい。運命を感じる」と喜ぶ。

 映画では、美しい花園の映像が見どころの一つ。舞台でどのように表現されるのか、関心を寄せている。花園の植物には傷ついた人々の心が託されている。

 「枯れて放置されていても、実は根が残っていて再生していくが、腐った根は取り除かなければならない。植物イコール心の中の感情でもあって、この取り除く作業には痛みを伴う。誰の人生もそうで、腐ったものをそのままにして、ただ生を積み重ねていくだけでは成長していけない」と深く読み解く。

 音楽的にも大変難しい作品で「この役には、クラシカルな声の出し方が要求される。いったん自分の声をリセットして、作り直す必要がある」と準備中だ。

 30年近く舞台に立ち続けてきた。

 「欧米は基本的にロングラン公演だし、新作もどんどん出る。日本ではミュージカルを見たことがない人が圧倒的多数で、欧米とは分母の数が違う。その分母を増やさなければという思いがある」

 作品や俳優、劇場も増やしたい。ただし、この20年ほどで大きく変化してきたと実感している。「いい具合に実がなってきたなと思います」とほほ笑んだ。

いしまる・かんじ  俳優。1965年、愛媛県出身。
90年、東京芸大在学中に劇団四季のミュージカル「オペラ座の怪人」ラウル・シャニュイ子爵役でデビュー。2007年12月、同団を退団。1年の充電期間を経て、09年から俳優活動を再開。舞台の他、映画、ドラマ、ソロ活動、音楽番組の司会など幅広い分野で活躍中。
7月14~16日、厚木市文化会館大ホールでミュージカル「シークレット・ガーデン」に出演。午後1時半開演。S席1万1000円、A席7500円。問い合わせは同館チケット予約センター電話046(224)9999。

記者の一言
 横浜のあざみ野に稽古場を持つ劇団四季。劇団員の頃は「毎日いましたね」と笑う。厚木の舞台にも何度か立ったことがあり「とても親しみのある場所」との言葉がうれしい。ミュージカルに関心を持ってもらうため「俳優も地道に発信していかないと」と映画やテレビに出演しているそうで、音楽番組では司会も務める。その司会ぶりもすてきだが、目の前の石丸さんは話しているだけでも滑らかで深みのあるとびきりすてきな声。これは歌声を聴かねばもったいないという気になる。「厚木の近くの方はぜひ。心を成長させる苦みもあり、幻想的だけど現実味もある。音楽的にいうと、じんわりあったかくなるものにクレッシェンドしていく感じ。見終わった後、癒やされます」。癒やされに行きます!


石丸幹二さん
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