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【厚木5次爆音訴訟】「被害60年、終止符を」 住民、岩国移駐効果を疑問視 

社会 神奈川新聞  2018年05月22日 02:00

横断幕を掲げて横浜地裁前を行進する原告団と弁護団=21日午後1時ごろ、横浜市中区
横断幕を掲げて横浜地裁前を行進する原告団と弁護団=21日午後1時ごろ、横浜市中区

 厚木基地(大和、綾瀬市)の航空機騒音を巡る5度目の法廷闘争が21日、横浜地裁で本格的に始まった。米空母艦載機の岩国基地(山口県)への移駐が完了した中での闘いとなる点が、第5次訴訟の大きな特徴だ。騒音の軽減効果を見込む国に対し、住民は「被害解消にはいまだ程遠い状況」と懐疑的な見方を示し、静かで安全な暮らしを求めて訴訟で声を上げ続ける意義を強調した。

 「1、2月は確かに静かだったが、3~5月は一気に騒音がひどくなった」。滑走路の北側約7キロに住む東京都町田市の増田美智子さん(66)は、閉廷後の報告集会でマイクを握り、依然として変わらない騒音の過酷さを証言した。

 特にヘリコプターの騒音がひどく、上空を旋回する様子や深夜に飛行する姿もたびたび目撃したという。「移駐には少し期待していたが、騒音が軽減するという国の説明はまったく信用ならないことが分かった。声を上げ続けないと静かな空は保障されない」。取材に対し、決意を新たにそう答えた。

 もともと原告らの間では、移駐後の騒音軽減に懐疑的な意見が根強かった。米側は艦載機の移駐後も折に触れて厚木基地を使用する方針をすでに表明。さらに米軍のヘリコプター部隊は残存し、自衛隊機は変わらず基地の上空を飛び続けているためだ。

 「60年に及ぶ被害の歴史に終止符を打つ」と法廷に立った大波修二原告団長も、意見陳述の中で移駐完了後の厚木基地の状況を説明。「残ったヘリコプターや、輸送機はこれまで通り飛行している。厚木基地所属ではない米軍機もたびたび飛来している」と、裁判長らを見据えながら訴えた。

 また、国内外で墜落事故などトラブルが後を絶たない輸送機オスプレイについても言及。「厚木基地にも頻繁に飛来するようなった。このような機体が住宅密集地の上空を飛び、万一にも事故を起こせば未曽有の惨事になる。多くの市民が騒音のうるささとともに事故の恐怖を訴えている」と述べた。

 厚木基地爆音防止期成同盟の石郷岡忠男さん(74)は「穏やかな空が戻った状況とは程遠い」と落胆。自衛隊機の一部飛行差し止めが下級審で認められた第4次訴訟に触れつつ、「一歩でも二歩でも結果を前進させる」と力を込めた。


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