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【社説】台風時の高潮 リスク見つめ対策急げ

社会 神奈川新聞  2018年05月18日 11:16

社説
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 昨年10月に関東を直撃した台風21号は、主に相模湾で高潮・高波の被害が集中した。漁港や海岸で、定置網や防波堤の破損、護岸の崩落、さらには住宅の床上・床下浸水などが相次ぎ、津波とは異なる沿岸部のリスクを浮かび上がらせた。

 台風や発達した低気圧が通過する際に起きる被害は、河川の氾濫や土砂崩れといった激しい風雨によるものに限らない。吸い上げられた海水が海辺を襲う。

 そうした危険性を認識することを出発点とし、備えのありようについて地域でひざを交えたい。

 高潮は台風の勢力やコース、潮位など、いくつかの条件が重なることで発生する現象だ。

 それゆえ遭遇する機会が少なく、減災の知恵は必ずしも蓄積されていない。台風21号では高潮警報が出されたが、本県沿岸への発表は6年ぶりだった。

 しかし、今後はその頻度や危険性が高まると心得ておかなければなるまい。温暖化による海面上昇や台風の強大化によって高潮の深刻化が見込まれているのである。

 こうした予測を対策に組み込むべく、最大級の高潮を想定する動きが進んでいる。津波や河川の氾濫と同様に、より深刻な事態を描き、避難対応などの見直しにつなげようとするものだ。

 本県の結果はまだまとまっていないが、先に公表された東京都の想定は衝撃的である。東京23区のうち、東部を中心とした17区で浸水。その範囲内の昼間人口は395万人に上る。浸水時の水位は最大で約10メートルに達し、水が引くまでに1週間以上かかると見込まれた地域もある。

 想定を行う上でモデルとされたのは、国内最大規模だった1934年の室戸台風である。河川の氾濫や堤防決壊の影響も重ねてはいるが、浸水は墨田区で区の面積の99%、葛飾区は98%、江戸川区では91%を占めた。一自治体では住民の安全を確保できない状況に陥る。

 「海抜ゼロメートル地帯」が広がるこれらの地域では、高潮への危機感が強い。他地域への「広域避難」という選択肢の検討に本腰を入れているのは当然といえよう。

 人的被害を防ぐのはもちろん、施設的な被害を最小限にとどめ、一刻も早い排水や復旧につなげる。リスクを直視し、高潮への着実な備えに取り組みたい。


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