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中南信用金庫 鈴木豊氏
【金融最前線】県内信金理事長に聞く(8)収益力確保がテーマ

経済 神奈川新聞  2018年05月08日 02:00

すずき・ゆたか 1976年中央大学卒業、同年中南信用金庫入庫。2002年常務理事、04年から理事長。65歳。平塚市出身。
すずき・ゆたか 1976年中央大学卒業、同年中南信用金庫入庫。2002年常務理事、04年から理事長。65歳。平塚市出身。

  -営業地域の経済の特徴は。

 「取引先の事業所では卸売・小売業が一番多いが、基本的にさまざまな業種が混在している。ただ、平塚市に日産車体があるため自動車産業向けの下請け企業は多い。人口動態をみると、右肩下がりではあるが厚木、伊勢原、茅ケ崎市は推計よりは上回った。平塚市は、日産車体の湘南工場が九州の工場への生産移管で規模が縮小した影響が出ているようだ。一方、大磯町は底打ちしており、別荘だった場所にマンションが建つなどして人口が持ち直していると思う。二宮町は、まだプラスには至っていない」

  -地域の経済の課題は。

 「喫緊の課題は、人手不足だ。営業エリアを大磯、二宮、中井町、小田原市の南西部と平塚、茅ケ崎、伊勢原、厚木市方面の中南部とに分けているが、中南部は景況感は良くなってきているものの、人手不足が続いている。南西部でも声は上がってきていないが、人手は不足している状況だ。その点は、あまり信用金庫として援助がし切れない部分ではある」

  -中小企業にとって事業承継の難しさも課題となっている。 

 「当金庫は経営情報センターを置き、そこで相談に応じ、セミナーなども開いている。廃業の理由の大半は跡継ぎ問題。廃業されたいという方にM&A(合併と買収)を紹介するなどもしており、成約した案件も何件かある。とはいえ、基本的に『事業を買いたい』という話はあるが、『売りたい』という話はない。営業店の窓口がそうした話をキャッチできないといけないと思うので、アンテナを持つように仕向けてやっている」

  -マイナス金利などで苦しい日々の心構えは。 

 「マイナス金利政策を導入する際、やめてほしいという話は日本銀行側に会う機会に伝えていた。当金庫は県内の8信金の中で融資量、預金量とも8番目で、預貸率も最低だが、原価を意識した融資の利率を採用しており、利回りは県内でも一番高い。金利についてはいろいろな面で長く取引している関係もあるし、地元住民が職員であることもあり、自分たちがエンドユーザー(商品、サービスを使う人)でもあるようなお付き合いをしている。ただ金融業だけやっているということではない」

  -注力していることは。 

 「『地域共創』を経営理念にしており、お客さまと幸せになろうという考えでやっている。職員に向けては職員自身と金庫の成長がお客さまとの約束である、という理念を記した『ちゅうなんクレド』を全員に配布している。また金融庁がリレーションシップバンキング(地域密着型金融)を提唱しているが、当金庫ではそれ以前の1995年から中小企業診断士を養成し、98年に経営情報センターを作って創業支援にも力を入れてきた。渉外係が案件の情報をつかめば、センターにつなげて相談を受けている。考え方としては、融資などの金庫事業とは別に、相談に応えられる機関ということでやっている」

  -一番の課題は何か。 

 「融資量をどう伸ばしていくか、ということになると思う。切り口を変えて話すと、低金利の状態は20年以上続いている。そしてこれから先も続くであろう中で、収益力をどう確保していくかが一つの大きなテーマ。融資量の増加では、フェイス・トゥー・フェイス(対面営業)をしっかりと地道にやる。また収益を上げるためには投資信託を組み合わせながら運用を確保することも一つだろう。当金庫は自己資本比率が県内では2番目に高い。このため資金運用でリスクをとれる側面があり、ある程度収益を維持できている。そういう経営的にしっかりしているという強さもある」
 =おわり 

■ 中南信用金庫 
 1932年創立。本店は大磯町。大磯・二宮・中井町、小田原・平塚・伊勢原・茅ケ崎・厚木市に18店舗。2017年3月末の貸出金残高は807億1200万円、預金残高は2877億1800万円。


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