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安全・安心に飲もう 横浜・野毛地区で「浄化作戦」

政治行政 神奈川新聞  2018年05月05日 11:24

路上にビールケースや看板がはみ出る野毛地区の飲食店街=横浜市中区(画像の一部を修整しています)
路上にビールケースや看板がはみ出る野毛地区の飲食店街=横浜市中区(画像の一部を修整しています)

 庶民的な飲食店が多く集まる横浜市中区の野毛地区で、店先の路上にはみ出した立ち飲み用のたるや看板などの「浄化作戦」に地元町内会と行政が連携して取り組んでいる。カフェやダイニングバーなど、新興の飲食店も増えて老若男女でにぎわう一方、事故や災害時の緊急対応に課題を残す。にぎわいと安全を両立するため、飲んべえのまちの模索が続いている。

 「この木製だるは緊急車両の通行の邪魔になります。撤去してください」-。4月下旬、伊勢佐木署や横浜市、地元町内会の担当者らが野毛地区の主要通りで合同で行った緊急車両の走行テスト。消防、警察車両の通行に問題はなかったが、妨げになり得る酒だるやビールケース、看板などを路上に置いていたとして、複数店舗が口頭で注意を受けた。同署によると、これらの行為は道交法の禁止行為に抵触する可能性もある。

 野毛飲食業協同組合によると、野毛地区の現在の飲食店はおよそ700店。2004年に最寄り駅の一つだった東急線桜木町駅が廃止され、客足が遠のいた時期があったが、これを機に地区内の街灯を増やしたり、ごみ出しのルールを徹底したりして、安全でクリーンなまちづくりを推進した。

 こうした取り組みの効果と相まって、近年はカフェやダイニングバーなども出店。各種メディアでも取り上げられ、学生や女性も数多く訪れるようになり、来街者層を広げている。一方で、店舗間の競争も激化し、少しでも客を呼び込もうと店先にたるなどを設置した「路上酒場」が急増。これに伴い、飲食中の客と通行車両の接触や、路上にはみ出した構造物に足をぶつけてけがをする事故なども報告されるようになった。

 これを受け、16年秋から地元の町内会、飲食業関係者らでつくる「野毛地区環境浄化防犯協議会」に警察や市も加わった対策が本格化。毎月、定期的に合同パトロールを実施するなど、エリアの安全性や快適性を阻害する行為に目を光らせている。同協議会の野口瞳会長は「以前に比べ、看板は敷地内で掲示されるようになり、路上営業も減りつつある。地道な啓発活動で意識が変わり始めている」と手応えを語る。

 ただ、にぎわいの創出と安全・快適なまちづくりの両立は容易でない。店舗間でも「路上商売は問題。客の安全を守るのも仕事」との意見がある一方、「路上のテーブルを全部なくせば客がいなくなってしまう」との声も。開放的な屋外で飲酒するのは「気持ちがいい」との来街者の声もある。「みんなが路上看板をやめるなら、うちもしないが…」。足並みをそろえる難しさもうかがえる。

 野口会長は、20年の東京五輪・パラリンピックを見据え「引き続き関係機関と連携して安全・安心にまちを楽しんでもらうため、粘り強くルール順守に理解を求めていく」と話している。


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