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「すべて三浦」の写真集発売 半島“最果ての地”の魅力を

話題 神奈川新聞  2018年05月02日 10:16

初の写真集を出すカメラマンの有高さん(左)と「アタシ社」のミネさん=三浦市三崎(左)
初の写真集を出すカメラマンの有高さん(左)と「アタシ社」のミネさん=三浦市三崎(左)

 被写体、風景、出版社の「すべてが三浦」というローカルにこだわった写真集が4日に発売される。タイトルは「南端」。三浦を撮り続ける写真家・有高唯之さん(47)が、夫婦2人で営む三浦市内唯一の出版社「アタシ社」とタッグを組み、漁師や農家、ミュージシャンなど、この町で生きる人たちの息遣いに迫った。「三浦には、今の時代にありがちな無機質な町とは真逆の風情がある」。半島“最果ての地”から町の魅力を世界に発信していく。

 有高さんは1998年からポートレートを中心にカルチャー誌でキャリアをスタート。広告やCDジャケット、書籍など多くの媒体で作品を発表している。

 6年前に東京から逗子に移住。「港町にいると気持ちが落ち着く」と三浦に通い、町で生きる人をテーマにシャッターを切り続けてきた。「がたい(体格)が良かったり、一目で『外で仕事してる人だな』とか、漁師も何となく顔で分かる。被写体としてすごく魅力的だった」

 2016年には漁師や農家を中心にした写真展「三浦の人びと展」を市内で開催。その後も地元の人と酒を酌み交わしては交流を深め、撮影を続けた。「もう少し掘り下げると美術家やクリエーター、手仕事の人もいて。そういう人と1次産業の人を交ぜた方が三浦の魅力をより伝えられると思った」

 モノクロ、100ページからなる自身初の写真集には、校長先生や書道家、神職や世界的に活躍するサックス奏者ら、約70人の生き生きとした表情と町の風景を詰め込んだ。

 昭和のにおい漂う商店街に夕暮れ時のセンチメンタルな情景…。ゆったりとした時が流れるのが港町・三浦の良さだ。人口は減り、消滅可能性都市とも言われるが、「漁師や農家、料理人やクリエーターなど、自ら手を動かせる人が交わっていけば、『理想郷』のような地になり得る」と有高さん。今回の出版についても「これからの時代はローカルから永続的に文化を発信することが、世の中に大きな刺激を与えていく」と力を込める。

 出版元のアタシ社も昨年逗子から三浦に引っ越してきたばかり。代表社員のミネシンゴさん(34)は「有高さんの写真を初めて見た時、『必ず写真集にしよう』と直感的に思った。町のためにもずっと残っていける最高のものを作ろうと考えた」と振り返る。

 そこでこだわったのが印刷や紙質だ。より階調が豊かになる「トリプルトーン印刷」を施し、高級印刷用紙の「ヴァンヌーボ」を使った。「大手出版社ではコストが見合わないぜいたくな写真集」とミネさん。「有高さんが捉える三浦の人たちと、まるで空間を共有できているような感覚が紙面に生まれている」と胸を張る。

 3500円(税抜き)。同市三崎にあるアタシ社の蔵書室「本と屯(たむろ)」や同社サイト、市内の書店などで購入できる。問い合わせは、ミネさん(mineshingo@atashisya.com)。


三浦で生きる人たちに焦点を当てた写真集「南端」(ミネさん提供)
三浦で生きる人たちに焦点を当てた写真集「南端」(ミネさん提供)

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