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教室に行こう 清川村立宮ケ瀬小学校(清川村)

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神奈川新聞  2004年06月06日公開  

2人の「小さな教室」
2人の「小さな教室」

物語と向き合い思索
「私が太一だったら…同じように考える」


 3月13日、卒業式を間近に控えた6年生の国語の授業。児童はわずかに2人。6年間続けてきた「小さな教室」が総仕上げを迎えようとしている。先生と穏やかにあいさつを交わして授業が始まった。

 この授業では立松和平さんの小説「海の命」を読んで、登場人物の相互関係や心情、場面を考えてきた。物語には、主人公の太一が祖父や父と同じ漁師を志し、さまざまな葛藤を乗り越えながら成長していく姿が描かれている。

 「生きる」とは、どういうことか-。単元の最後となるこの日の授業では、もう一度物語を振り返りながら意見を交換し、さらに考えを深めた。

 はじめに先生が「太一はどんなことを考えて生きてきたのかな」と、問い掛けた。2人の児童はあらためて作品と向き合い、自分の考えをノートに整理していく。何度もページをめくっては、文章を読み返し、鉛筆を走らせる。書いては消し、また書いては、自分のペースで文章を読み返していく。時間が静かに流れていく。

 しばらくして「できたよ」という表情で一人の児童が先生と目を合わせる。先生が「できましたか」と声を掛ける。もう一人の児童が「ん…」とつぶやいた。でも、ノートにはしっかりと自分の考えが書かれている。

 ここで「その太一の生き方をどう思いますか」と先生の問い掛けが続く。


自分の考えをノートに
自分の考えをノートに

 2人の児童は、ノートを見直しながら、自分の考えを書き留めると、机をつき合わせた。「もしも私が主人公の立場だったら…」と、自分と照らし合わせながら「私も太一と同じように考えると思います」と、言葉を選びながら思いを声にしていく。主人公の太一は、大魚に父を奪われながら漁師として自然と共に生きる道を選んだのだ。

 こうして6年間積み上げてきた「2人の教室」。互いに考えを交わし、対話することで理解を深めてきた。最後は少し背伸びした難しい授業だったかもしれない。しかしこの物語は、新しい人生のスタートラインに立った2人にとって生き方を考える貴重なきっかけとなった。

さまざまな教室から、県教育委員会の指導主事や先生らで構成する「学び見守り隊」がリポート

神奈川県教育委員会では、他にも各校の取り組みを「元気な学校づくり通信『はにい』」で紹介。
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f420082/


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