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丹沢で県がモニタリング
警戒クマなく監視 出没件数増え、生息状況把握へ

社会 神奈川新聞  2018年04月29日 11:32


2017年6月に清川村に出没したツキノワグマ(撮影者提供)。首に追跡調査用の発信器が見られた
2017年6月に清川村に出没したツキノワグマ(撮影者提供)。首に追跡調査用の発信器が見られた

 ツキノワグマの出没が全国的に増えていることを受け、県は丹沢山地における生息状況の把握に向け、自動撮影カメラを使って監視するモニタリング調査を実施する。個体数は2012年度の調査に基づき「おおむね40頭」と推定しているが、撮影した胸の模様から個体を特定、更新していく。広いとされる個体別の行動傾向も探り出すことで、クマに襲われる人身事故の防止に役立てる。

 県自然環境保全課によると、ツキノワグマ対策関連費として県の18年度予算に234万円を新規計上。丹沢山地内に生息する個体数の推定や、増減傾向の解析などを目的に継続的なモニタリングを検討、試行する。

 環境省が推奨するカメラトラップ法は、生息地と思われる奥山などに自動撮影カメラを設置。約3メートル先に好物の蜂蜜などを掲げて立ち姿を捉える。胸部の三日月形の模様は個体ごとに異なっていることから、画像を解析して行動範囲を推定する仕組み。


カメラトラップ法
カメラトラップ法

 本州、四国の各地では、クマの出没は餌となるドングリの不作などで数年に1度の頻度で多発してきた。しかし00年以降、ハンターの高齢化や里山地域の過疎化などで生息分布域が拡大して大量出没は常態化、人への被害増加が懸念されている。

 県内でクマの目撃や痕跡の確認件数は17年度47件、16年度112件、15年度49件、14年度56件、13年度33件、12年度108件で推移。16年度は過去最多で、年度によってばらつきが見られる。

 同省は最新のガイドライン(16年度)で生息分布域の拡大に伴い、再び恒常的な生息地となる可能性が高い地域として、県内では箱根山地を「監視区域」に設定した。住民らにクマの生息動向に注意するよう求めている。

 個体数を含めてクマの生態は未解明な部分が少なくない。同課は「採取した体毛を遺伝子分析するヘア・トラップ法で得られた既存データや目撃情報などと合わせて、クマの生息状況を継続的に把握できるよう保護管理の取り組みを強化していく。本年度はカメラの配置場所を調べて手法の有効性を検証したい」と話している。

16年には人身事故も
県西部、春から秋に目撃



 県自然環境保全課が人身事故防止のために公表しているクマの目撃・痕跡情報から、過去3年間の出没場所や時期などの傾向をまとめた。県北部から県西部の広い範囲で、春から秋にかけて出没している。

 市町村別では、2017年度は山北町の15件が最多で、相模原市緑区13件、伊勢原市7件が続いた。16年度は伊勢原市45件、相模原市緑区21件、山北町18件。15年度は伊勢原市18件、相模原市緑区13件、清川村5件など。

 また、監視区域に入った箱根町は17年度1件で、15年度2件だった。

 月別は、17年度が6月13件、7月8件、11月と4月5件。16年度が10月30件、11月29件、6月15件。15年度が7月12件、8月8件、10月6件の順で多かった。

 山麓の人里と山中で見ると、17年度が人里23件と山中24件。16年度が人里72件と山中40件。15年度が人里29件と山中20件に分かれた。

 人身事故は、16年度に山北町玄倉の林道でハイカーが6月24日朝、親子2頭のクマに遭遇、軽傷を負った。人身事故は7年ぶりの発生だった。 

 ◆ツキノワグマ 体長1メートル前後、体重約60キロ。嗅覚や聴覚に優れ、木登りがうまく、走るのも速い。臆病な性格だが、突発的に出合うと防御的に人を襲う場合もある。放置・廃棄された農作物や果樹などに誘引されて人里にも出没。国内推定数は1万5千頭から2万頭。東北地方の自治体などに比べて県内の推定数は桁違いに少なく、絶滅危惧種として1992年以降狩猟は自粛されている。


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