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横行するセクハラ・差別

社会 神奈川新聞  2018年04月26日 13:09

東京・霞が関の財務省
東京・霞が関の財務省

 辞任した財務事務次官によるセクハラ疑惑で、女性の人権がないがしろにされている実態があらためてクローズアップされている。他の職場の模範となるべき教育現場や役所で日常的にセクハラや差別が横行している一方、職場外での被害の訴えを聞いてもらえず泣き寝入りしてしまうケースもある。財務省の対応や政治家の発言からは人権を軽んじる姿勢がうかがえ、問題の根は深い。

学校・役所で日常的に


 中学校に勤務する20代の女性教諭は、新任のころに開かれた同僚との宴席で、管理職の男性教諭に体を触られた経験がある。

 「フィリピンパブではこんなことをするんだよ」。そう言って上司は太ももや足全体をさすってきた。しっかりと指導してもらっていた分だけ驚きが大きく、不快に感じたが、愛想笑いを浮かべることしかできなかったという。

 高校で働く同じく20代の女性教師は採用されて間もないころ、校長に掛けられた言葉が耳に残る。

 「結婚したら(仕事は)どうするのですか」。続けて「女性はいろいろありますよね」「子育ては大変ですよね」「育児のためにやめる(女性の)先生もいますね」とうかがってくる。

 男性には決して尋ねない質問だろう。心の中で首をひねりながらも「そうですよね、よく考えないといけないですよね」と答えると校長はうなずいていた。

 難関大などへの進学を目指すクラスがあるが、そこの担任に女性は不在。女性という理由だけで重要な仕事を任されていないと感じている。「差別は身近にあると思う」と話す。

 一方、県内の20代の女性自治体職員は、どんなに忙しくても訪問者があれば茶を出すのが役目だ。訪ねてきた男性も「(茶を)男からもらってもよお」などと言う。うんざりするが「波風を立てるよりも、この1分を我慢して丸く収めた方がいいのかなと」と自分の気持ちを収める。

 セクハラは特に議員からが多い。「下の名前でなれなれしく呼んでくる。仕事を頑張っても『私』としてではなく『おねえさん』と見られていて軽視されていると感じる」と憤る。

 女性の人権が不当に扱われている実態は数字にも表れている。内閣府が昨年12月に発表した「人権擁護に関する世論調査」で、女性の人権問題について複数回答で聞いたところ「職場での差別待遇」を挙げた人は50・5%、「セクハラ」は42・9%に上った。いずれも2012年の前回調査から増えている。

 一方、女性3人の職場に共通するのは、セクハラや差別を訴えられる雰囲気がないという点だ。

 女性教諭2人が勤める学校にはいずれも専門の窓口のような部署はなく、1人は「言いづらさ」を感じている。自治体には相談窓口があるが、女性職員は誰が告発したのか分かってしまうのではとの懸念があるという。

 財務省が事実関係の調査を同省の顧問弁護士に委託していることや、被害者に名乗り出るよう求めたことは、被害者保護という観点が抜けていると批判を浴びている。さらには自民党の下村博文元文部科学相が告発した側の行為を「犯罪」と指摘したことや、麻生太郎財務相も「はめられたとの意見もある」と主張したことが問題になった。

 「勇気を持って声を上げたのに、そういう対応を取られるとますます不信感が募る」と、高校教諭の女性は政治家らの人権意識の低さを嘆く。自治体の女性職員は「男性は『これだから女は…』『審議が進まない、まどろっこしい』としか思っていないのではないか」とため息をついた。 


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