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横浜信用金庫・大前茂氏
【金融最前線】県内信金理事長に聞く(2)ファンを増やしたい

経済 神奈川新聞  2018年04月25日 11:56

おおまえ・しげる 東京大学卒。1974年大蔵省(当時)入省。横浜税関長、横浜信用金庫専務理事を経て2014年6月から現職。67歳。兵庫県出身。
おおまえ・しげる 東京大学卒。1974年大蔵省(当時)入省。横浜税関長、横浜信用金庫専務理事を経て2014年6月から現職。67歳。兵庫県出身。

 -取引先の景況感はどうか。

 「アンケートをとると、業種によって異なるが、やはりプラスの回答が多く、良くなってきているようだ。設備投資についてはそれほど増えていないが、更新投資は盛んだ。新規に設備投資しようというところまで出てくるとありがたいが、なかなかそこまでには至っていないのが実情」

 -低金利が続く。

 「金融機関の競争もあり、金利はどんどん低下している。貸し出しの利息収入と預金の利息の差が本業の利益となるが、金利が低いとどちらも下がり、利ざやも狭まってくる。職員も危機意識を持って何とかしなければならないという状況だ。一方で、逆風はチャンスだと思っている。危機意識があれば結束する。漫然とやっていればじり貧になるのであれば、何のために営業をしているのかと原点に返ることができる」

 -逆風に打ち勝つには。

 「幅広い取り組みをしてきた。順調なときは指示待ちになりがちだが、職員が自分の頭でしっかり考え、何のためにやっているのか考えながら仕事をするような職場風土をつくらねばならない。組織が大きくなると部署間の風通しが悪くなる縦割りや、本部と営業店の意思疎通がない横割りの弊害が出るが、逆風下では、職員が生き生きと仕事ができる環境をつくる必要がある。そうしたことを3月までの中期事業計画に盛り込んだ結果、決算では前々年度の後半くらいから効果が出てきた。やってきたことは正しいと実感している」

 -どのようなことに取り組んだか。

 「まず、営業体制を見直した。お客さまから相談を受ける部署を横浜西口支店から本部の業務推進部に移し、相談があった場合はよりスピーディーに対応する体制に変えた。事業性評価についてはお客さまへのアドバイスなど、職員のレベルを上げて取り組むようにした。個人分野は少し弱かったが、弱みは成長分野だと認識し、需要を世代別や階層別に分けてきめ細かく対応する商品を出したりサービスをするようにした。そうすることで個人の融資も伸びてきた。そのほか、職員や顧客への満足度調査を行った。今月からは、新たな3カ年の中期事業計画を始めた」

 -新中計の内容は。

 「これまでの方向性でうまくいっており、これまでと大きく変えるわけではない。足りないところをもっと深掘りし、営業活動の仕方や職員のレベルアップなどをさらに図る。当金庫は5年後に創立100周年を迎えるので、そこを目標に職員一丸となって頑張っていこうと、サブタイトルは『《よこしん》未来100の創造』とした。持続可能な新しいビジネスモデルをつくっていこうという趣旨だ」

 -具体的には。

 「事業性評価では、課題解決型融資に力を入れる。個人についても需要をしっかり受け止めて商品サービスを提供。AI(人工知能)技術も取り入れ、取捨選択しながら行う。とはいえ、フェース・トゥ・フェース(対面)が基本なので、融合させながらいろいろなことをすれば、できたビジネスモデルは今までとはずいぶん違うはず。金融と技術を融合するフィンテックでいえば、中小企業を支援するクラウドサービスも始めた。他の信金、地銀にも広がれば、全国的にいいものになるのではないかと期待を持っている。当金庫が一番得意なのはお客さまや地域と密着すること。これをもっと強く、さらに深くし、信金ファンを増やしたい。大きな金融機関が目指すような体が大きくてがっちりした強さでなく、知恵を使ってこつこつと地道に活動し、簡単には倒れないようなしなやかな強さを持った金融機関になりたいと思っている」

横浜信用金庫
 1923年創業。本店は横浜市中区。横浜・川崎・大和・海老名・藤沢・東京都町田市に61店舗。2017年3月末の貸出金残高は9449億円、預金残高は1兆7160億円。


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