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川崎信用金庫・草壁悟朗氏
【金融最前線】県内信金理事長に聞く(1) 地域に役立つ存在に

経済 神奈川新聞  2018年04月24日 12:26

くさかべ・ごろう 1977年慶応大学卒。同年川崎信用金庫入庫。2004年常務理事、07年専務理事を経て11年から理事長。64歳。東京都出身。
くさかべ・ごろう 1977年慶応大学卒。同年川崎信用金庫入庫。2004年常務理事、07年専務理事を経て11年から理事長。64歳。東京都出身。

 -営業地域の状況はどうか。

 「川崎市は現在も人口が増え続けており、2030年ごろまで増加するとの話がある。産業では製造業がしっかりと残り、七つの工業団体は健在だ。ただ、事業所数はこの10年で約1割減っているという事実がある。この傾向からは抜け出せておらず、そこのところを何とかしなければ。中小零細企業の経営者は70代に迫り、10年ほどで後継者の問題も深刻になるだろう」

 -事業所が減少した要因は

 「まず、海外に出た例が多い。企業が国内だけで食べていけた時代は、ずいぶん昔。1985年のプラザ合意以降の円高を受けて出て行ける企業は海外に行き、出て行けないところで比較的単純な汎用(はんよう)品や量販品を扱っていた企業は淘汰(とうた)された。残ったのは、比較的独自の技術がある企業。一方、産業構造は変わっており、車に必要だったエンジンは電気自動車では必要なくなる。その傾向は今後も続くだろう」

 -そうした経済状況の中で重視していることは。

 「技術を持つ人が、次の世代に伝えるお手伝いをすることだと思う。『次にうまく引き継ぐ』ことは、個人向けでも大きなテーマ。現在、個人預金の7割以上は60歳以上だ。そうした資産を若い人たちに円滑にコストをあまり伴わず移す。資産を引き継ぐコストを抑えるために信託を使うのか、ローンや保険を使うのか、といった提案をちゃんとできる形ができれば、ビジネスモデルになるかと思う。低金利で資産運用に伴う資金利益が望めない。そして世の中では資金需要もない。新しいビジネス需要は、そこかなと思う」

 -マイナス金利など、金融緩和策が当面続きそうだ。

 「がっかりしたところはある。金利はこの20年以上、下がり続けている。当金庫の支店長クラスでは、金利が上がった経験がない者もいる。金利を上げるということをとても言える状況ではないし、仮に金利が上がっても、社会経済に与える影響は計り知れないものがあるだろうとも思う。たとえば住宅ローンでは、超低金利のため借り手は元金しか考えない例が多いだろうが、元金プラス利息を意識するようになれば、借り手は大変だろう」

 -最大の課題は。

 「地域の金融機関として役に立てる存在であるにはどうしたらいいか。巡航速度でやっていけばご飯が食べられるだけの収益が上がり、行政の手伝いもできる、という形にするにはどうすればいいか、ずっと考えている。金利が下がり続けている以上、コストの抑制も必要だろう。かつてこんなに収益を出すのが厳しい時期はなく、巡航速度にもっていくための仕組み作りは金融機関として一つのミッションだろう」

 -1月にシステムを移行した。

 「現場のオペレーションなどは3、4割は役に立たなくなったが、トラブルもほとんど発生しないで今日に至っている。事務の集約を実現し、営業活動に従事できる職員数を今後増やす。人事評価の方法も2年前に変えた。年功序列的な評価方法への疑問が出たため、成果給的な要素を取り入れ、努力した職員が評価される制度にした。緩和措置を経て7月から本格的に運用される。今月からは四つの部を再編してまとめた」

 -多くの変化があった。

 「敢然とスピード感を持って進めはするが、現場の声を吸い上げて足りない部分は加えるなど、できるだけ対応していく。そうした配慮で組織の求心力がばらけないようにすることが必要と思っている」



 大企業の景況感が改善する一方、中小企業にはまだ実感が十分に広がっていないとの声は根強い。多くの中小企業に支えられている県内経済の現状について、各地で中小企業を支援している信用金庫の理事長に聞いた。

 くさかべ・ごろう 1977年慶応大学卒。同年川崎信用金庫入庫。2004年常務理事、07年専務理事を経て11年から理事長。64歳。東京都出身。

川崎信用金庫
 1923年設立。本店は川崎市川崎区。川崎市全域と横浜市鶴見・港北・都筑・青葉・南区、東京都大田区に56店舗。2017年3月末の貸出金残高は1兆583億円、預金残高は1兆9003億円。


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