立春を過ぎ、花々が咲き誇る季節ももうすぐ。1月にパシフィコ横浜で開催された、横浜植木(横浜市南区)の園芸総合展示会を訪れると、工夫を凝らした園芸用品や資材が並び、全国の園芸関係者が集まっていた。同社国内営業部企画課でグリーンアドバイザーの長沼美択(よしひろ)さんに、家事や仕事で忙しくても、生活の中で草花を楽しむための秘けつを聞いた。
さまざまな植物の種や苗、園芸資材を扱っている同社。高齢化や異常気象の影響で園芸をやめてしまう人が増えているのが悩みだという。「小まめに手入れをしなくても植物を元気に保ってくれる商品がたくさん販売されているので、まずは園芸店で相談してみて。適切な資材を選べば、失敗するリスクを回避しながら家庭園芸を楽しめます」
最新資材を活用
最初に紹介してもらったのは、室内でグリーンを楽しむのに役立つ資材。「観葉植物をインテリアに取り入れたい場合は、室内用に改良された人工用土を使うのがお薦め。衛生的で、水やりや土を廃棄する際の悩みも解決できます」
例えばヤシの実チップから作られた「ベラボン」は吸水性、保水性、排水性に優れた培養土。水を含むと膨張し、乾くと収縮するという運動を繰り返すため、年数と共に土が締まる目詰まりを防げるという。約5年は継続して使用でき、使用後は土壌改良材として庭にまくこともできる。
れんがを砕いたかのようなオレンジ色の細かい粒がかわいらしい「セラミス」は、天然の粘土を800度の高温で焼き、細かく粉砕したもの。たくさんの細かい穴が開いているため、大量の水分を吸収。植物が必要なときにセラミスから水を吸う仕組みだ。「底に穴の空いていない火鉢やコーヒーカップも鉢として使えて、楽しみが広がりますよ」
鉢で空間を演出
玄関や庭先などに高い木を植えることで、潤いを演出する「シンボルツリー」。想像以上に大きく成長してしまい、管理に悩むケースも多いという。「シンボルツリーとして人気の樹木には、自然界で10メートル以上になるようなものもある。数年後のことを考えて、慎重に選んでほしいですね」と長沼さん。「古木になると木肌に味わいが出てくるオリーブの木がお薦めですが、古いものになるほど高額。玄関回りに緑が欲しい場合は、姿が崩れにくく大きくなり過ぎない低木もお薦めです」
ポイントは鉢にこだわること。ナンテンやマサキなどおなじみの植物でも、厚みのあるしゃれた鉢を使うことで洗練された雰囲気を演出できる。
「庭づくりにおいて、一度植えると毎年開花する宿根(しゅっこん)草をお薦めするなど、園芸の分野でも持続可能性を意識した取り組みが進んでいます。数年後も管理できるかどうかを意識して、便利な道具も使いながら楽しく植物と付き合ってみてください」