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「仕事休むと家計厳しく」 臨時休校 ひとり親世帯の悲鳴

社会 | 神奈川新聞 | 2020年3月3日(火) 05:00

 「幼い子どもを1人で留守番させることはできないが、仕事を休めば家計が一気に厳しくなる」

 横浜市南区で小学2年の長女(8)を育てるシングルマザーの会社員の女性(37)は窮状を吐露し、語気を強める。

 「政府の基本的なイメージは、夫婦2人がそろって子育てをしている家庭。妻が専業主婦でなくてもパートか共働きにとどまっている。ひとり親家庭の存在を想像してくれていない」

 臨時休校の期間は、県内の多くの学校で春休みに入るまでとされる中、横浜市内では当面、3~13日となっている。


神奈川県内公立学校の対応
神奈川県内公立学校の対応

 市教育委員会は、保護者の就業などを理由に家庭での対応が極めて困難な場合、小学1~3年と個別支援学級の全学年の児童を対象に、始業時間から午後2時半まで、小学校で緊急的に受け入れる。市教委は「教員の指導の下で、換気のため窓を開けた教室で自習してもらう」との考えだ。午後2時半から7時までは、市の学童保育事業「放課後キッズクラブ」などで留守家庭児童を受け入れる。

 だが、女性は「子どもが広い場所で体を動かせない上、狭い空間で密集して過ごさせるのは感染症予防の観点からも疑問」といぶかしむ。給食がないため弁当の準備も新たな負担だ。

 女性は横須賀市内の両親宅に身を寄せ、日中は長女の面倒を見てもらうつもりだが、両親は体調面に不安を抱え、先を見通せない。さらに「普段は30分ほどの通勤時間が2時間になるのは仕方ないが、いつまで続くのか」。心労に加え、身体的な疲労の蓄積も避けられず、肩を落とす。

 祖父母との同居なども含めた横浜市内のひとり親家庭は約2万6千世帯。県内全体は約5万世帯に上る。

 シングルマザーを支援するNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」(東京)の赤石千衣子理事長は「ひとり親はパートやアルバイトなど非正規雇用が多く、家計が元々厳しい。子どもの預け先が見つからなければ就労できない状態に陥り、さらに困窮してしまう」と危惧する。

 非正規雇用は有給休暇を取得しづらく、テレワークなどの制度を生かせない職場が多いといい、「政府は、ひとり親家庭への所得補償を早急かつ具体的に打ち出すべき」と指摘している。

 新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染拡大を受け、県内小中高校や特別支援学校でも臨時休校が始まった。安倍晋三首相による突然の要請を受けた措置で影響が広範囲に及ぶ中、とりわけ窮状に陥りかねないのが、単身で子どもを育てるひとり親の家庭だ。仕事を休むと家計が破綻しかねないだけに預け先探しに頭を抱え、「政府は私たちを見てくれていない」との悲鳴が上がる。

 
 

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