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台風禍、復興へ一歩一歩 崖崩れ・犠牲者8人の相模原

社会 | 神奈川新聞 | 2020年3月1日(日) 12:00

 昨年10月の台風19号で8人が亡くなり、500カ所近くで崖崩れが起きるなど甚大な被害を受けた相模原市緑区で、少しずつ、だが確実に復興が進んでいる。増水した川に流され、経営者を失った「神之川(かんのがわ)キャンプ場」(同区青根)が3月、営業を再開。一方、同区藤野地区の住民らが被災者を励ますため、巨大な芸術作品「緑のラブレター」を1日からライトアップする。

亡父の愛したキャンプ場再開「もう一度、笑顔でいっぱいに」


テント区画(左側)の多くが濁流に削られた神之川キャンプ場は、4カ月の作業で復旧した=相模原市緑区青根
テント区画(左側)の多くが濁流に削られた神之川キャンプ場は、4カ月の作業で復旧した=相模原市緑区青根

「やめないで、またとまりたい」の便り 遺志継ぎキャンプ場復旧へ

 場内の川が氾濫し、流された経営者の関戸基法さん=当時(82)=が亡くなって4カ月余。神之川キャンプ場は3月1日に渓流釣りと日帰りキャンプ、14日に宿泊キャンプとバンガローでの宿泊をそれぞれ再開させる。

 「頑張って」「やめないでほしい」「またキャンプがしたい」

 開業以来初めての長期休業中、長女高崎幸江さん(59)ら家族の元には、多くの手紙が届いた。

 めどが立ち、一部再開を伝える案内状を送ると、利用客から予約の申し込みが次々と舞い込んだ。そのはがきには関戸さんをしのぶ言葉や、スタッフを激励するメッセージも添えられていた。

 「皆さんの声に励まされ、ここまで来た」。高崎さんは涙ぐむ。

 記録的な豪雨となった台風19号はキャンプ場を、高崎さんらの生活を、一変させた。

 昨年10月12日の夜。管理棟で寝起きしていた関戸さんと連絡が取れなくなった。翌朝、高崎さんが4時間かけてたどり着いたキャンプ場に、関戸さんの姿はなかった。3日後、下流の河原で遺体で見つかった。

 管理棟の防犯カメラには、泥を懸命にかき出す父が写っていた。父が命懸けで守ろうとしたキャンプ場を再開させる-。そう心に決めた。

 だが、「その道のりは思ったより遠かった」。

 テントサイト132区画の3割ほどが濁流に大きく削られ、泥水が流れ込んだ管理棟は停電。炊事場も、作業用の車両も流された。

 「再開できないかもしれない…」。その不安に高崎さんが打ち勝てたのは、利用客からの手紙があったからだ。肌身離さず持ち歩き、家族と一緒に手で泥をかき、石をどけた。仕事を終えた弟の関戸芳夫さん(53)、長男の佳宏さん(36)らも加わり、夜は重機で作業を続けた。

 再開を前に、思い出すのは父の横顔だ。大勢の人でにぎわうキャンプ場を、本当に楽しそうに眺めていた。高崎さんは誓う。「父が愛したキャンプ場をもう一度、笑顔でいっぱいにしたい」

山腹のアート「緑のラブレター」ライトアップ

 若手経営者ら27人でつくる藤野商工会青年部は、台風19号の被災地で、ボランティア活動を続けてきた。その中で、ある思いがメンバーに生まれた。

 
 

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