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川崎のレッサーパンダ巣立つ 飼育員「いいパパになって」

話題 神奈川新聞  2018年04月03日 02:00

レッサーパンダの「ケンタ」にリンゴを手渡す飼育員の長谷川さん(右)=夢見ケ崎動物公園
レッサーパンダの「ケンタ」にリンゴを手渡す飼育員の長谷川さん(右)=夢見ケ崎動物公園

 春は出会いと別れの季節だ。夢見ケ崎動物公園(川崎市幸区)でも、雄のレッサーパンダ「ケンタ」が4日に姫路セントラルパーク(兵庫県姫路市)へ旅立つ。誕生から2年間、成長を見守ってきた飼育員の長谷川誠さん(45)は「別れに寂しいなんて感情は今までなかったけど、ちょっと複雑」と、愛くるしい姿の人気者にリンゴを手渡した。

 あの夜明けを忘れたことはない。2015年6月16日、長谷川さんはレッサーパンダ「アン」の3度目の出産に立ち会っていた。

 「ピー」という鳴き声が誕生の合図で、当日もその声が聞こえた。ただ、いつもと様子が違って、2種類の声が聞こえたという。誕生から約2カ月は巣箱に入っており、ようやく2頭の赤ちゃんが顔を出した。

 同園初の双子の誕生だった。警戒心が強いケンタには長靴をよくかまれた。えさが足りなくなって、動物園裏の竹林に取りに行ったことをよく覚えている。

 通常は1歳を過ぎると、雄は違う動物園に引っ越すのが慣例だった。父「ファファ」とじゃれ合うなど、ケンタの様子に「親やきょうだいの概念がないから、通常はあり得ないこと。これまでの常識を覆されて面白かった」と長谷川さん。3歳の誕生日も一緒に過ごせると思っていた矢先、種の保存を目的に転園が決まった。

 天井にぶら下がったり、ミカンを食べるとむせたりする姿が本当にかわいらしかった。長谷川さんは「自分はひねくれ者で、人気者は嫌いだったはずなのにやられっぱなしでした」と苦笑し、続ける。「目の前のえさをあげる人は覚えているけど、離れちゃうと覚えてないんだよな」

 体長110センチと大きくなったケンタは、3歳の雌が待つ兵庫県に向かう。血統の管理が徹底され、個体数の維持・繁殖は動物園が担う大事な役割。第二の父親は「ファファのように、何事にも動じないレッサーパンダになってほしい」と、新天地での活躍を切に願っていた。


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