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地域力担う人々
銀幕復活 期間限定40年ぶり連続上映 松田町民有志が協力

カルチャー 神奈川新聞  2018年03月30日 15:01

2月に開催された上映会後、感想など語り合う参加者ら=松田町民文化センター
2月に開催された上映会後、感想など語り合う参加者ら=松田町民文化センター

 町唯一の映画館が閉館してから40年以上がたつ松田町で、ことし1月から13カ月間の期間限定で連続上映会が開かれている。町民文化センター(同町松田惣領)の一室を借り、ドキュメンタリー作品を中心に月1回程度、開催する。映画館のある町をもう一度、との思いで町民有志が手を取り復活させた「銀幕」の久々の登場が、町ににぎわいと世代を超えた交流を生み出している。

 「チョコレートについて、これまでどの種類を買うかしか頭になかった」「フェアかどうか、値段についても考えなければ」。2月17日、同センターの一室で、見知らぬ者同士が鑑賞した映画について、ときに熱っぽく、ときに笑顔で語り合っていた。

 「みらい映画館まつだ」と題された上映会は、今回が2回目。アフリカ・ガーナのカカオ豆生産現場で児童労働問題に直面し、フェアトレード(公平な貿易)によるチョコレートの普及に取り組む女性3人の姿を追ったドキュメンタリー「バレンタイン一揆」を取り上げた。

 小学生から70代までの男女30人ほどが参加。上映会後には一緒に考えたり、意見を交換したりする時間が設けられ、映画談義に花が咲いた。

 同町在住の70代女性は「アフリカで子どもらが犠牲になっていると知らなかった。若い人らと皆で課題を共有でき、いい交流の場だった」と笑みを浮かべる。小田原市の自営業の40代女性は「子どもと一緒に、世界の課題を知る良い機会になった」と満足げに語った。

 上映会を主催するのは、町民有志でつくる「つなぐみらいまつだラボ」。2016年2月に教育を題材とした映画の上映会を単発で開催したことをきっかけに立ち上がった組織だ。30~60代の男女15人ほどで活動し、これまでに防災や平和をテーマにした講演会などを実施している。

 「町が一番栄えていたのは、映画館があった時代」。メンバーのそんな思いから連続上映会の企画が持ち上がったのは、昨年夏ごろだった。

 町唯一の映画館「金時座」は1946年に開館。「学生時代、いつも映画に元気をもらっていた」という経営者の高橋利光さん(83)によると、青春映画や娯楽映画などさまざまなジャンルを扱った。

 映画館は町の中心部にあり、座席800席の館内に1200人が詰め掛けた時代も。ただテレビの普及とともに客足は遠のき、1977年ごろ、およそ30年の歴史に幕を閉じた。

 金時座があった場所は現在駐車場になっているが、映画館があったときのにぎわいを記憶している同団体事務局を務める平野由里子さん(55)は力を込める。「町は足柄上郡の『郡都』と呼ばれていたこともあった。常設は難しくても、もう一度映画館のある町にし、活気を取り戻したい」。町の助成金も活用し、ことし1月に念願の「開館」にこぎ着けた。

 上映会では、作品にもこだわった。1回目は、ギリシャの経済危機により失業し、離島に移住した若者に焦点を当てたドキュメンタリーを、今月にあった3回目は、欧州を舞台に食品ロスをテーマにしている作品を流した。4月には移民・難民が集まるフランス・パリの中学校を追った作品を上映する。

 「町にいて遠くのことに見えても自分に関係している問題はある。大人も子どもも、世界の課題について考えるきっかけになれば」と平野さん。「さまざまな気付きを与えてくれるが、県西地域では上映している場所がない」ドキュメンタリーを中心に毎月開催していく予定だ。

 「映画は人生を充実させてくれる。今の世代にとっても子の世代にとっても、楽しい町をつないでいきたい」と活性化の一助にもと期待している。

 上映会の4回目は4月22日午後2時から。料金はビジター会員(1回分)600円、準会員(5回分)2500円、正会員(10回分)5千円で、高校生以下は無料。予約・問い合わせは、平野さん電話0465(82)8163。


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