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ダウン症書家の母、横浜で講演「絶望の闇をしのげば光が」

社会 神奈川新聞  2020年02月09日 05:00

「飛翔」と揮毫(きごう)する金澤翔子さん(右)と母親の泰子さん=西公会堂
「飛翔」と揮毫(きごう)する金澤翔子さん(右)と母親の泰子さん=西公会堂

 書家として活躍するダウン症の金澤翔子さん(34)を育てた母親で書家の金澤泰子さん(76)の講演会「ダウン症の娘と共に生きて」が8日、横浜市西区の西公会堂で開かれた。障害児に対する社会の偏見や夫の急死…。絶望の淵を幾度となくさまよいながらも共に歩んだ道のりを約500人の聴衆を前に語り、障害者との共生社会の実現を訴えた。同区と保土ケ谷区の主催。

 「ダウン症って何?」

 泰子さんは、書家として大成した翔子さんに聞いたことがある。翔子さんは、じっと考えた末に、自身を念頭にこう答えたという。

 「書道のうまい人のことを言うのかな」

 今ではダウン症について講演で語れるようになり、笑顔も絶えない泰子さんだが、障害児を抱える悩みが吹っ切れるまでに、実に30年がかかった。

 翔子さんを出産したのは泰子さんが42歳の時。わが子の障害を知らされたのは、生後50日を過ぎたころだった。大きな喜びが一転、深い絶望に陥った。「35年前は障害児を隠して育てていた時代。小学校では普通学級にも通えず、2人で死のうと思ったこともあった」と明かした。

 夫の急死をきっかけに、翔子さんが20歳のときに一度きりと決めて開いた個展が反響を呼び、書家として歩む契機となった。

 泰子さんから「純度の高い魂と優しさを持ち合わせている」と紹介された翔子さんは壇上で「飛翔(ひしょう)」と筆を振るい、米歌手の故マイケル・ジャクソンさんの曲に合わせてダンスを元気いっぱいに披露した。

 泰子さんは目を細め、「闇の中をしのいでいけば、そこには大きな光が見えてくる。生きてさえいれば、絶望はない」と結んだ。


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