入所者ら45人が殺傷された県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」を再建する動きが、いよいよ本格化する。県は2020年度予算案に2園の新築工事関係費として40億7019万円を計上し、利用者が21年度に入居できるよう準備を進める。ただ、県が打ち出した園の運営主体を見直す方針は現指定管理者との溝が深まっており、先行きが見通せない状況だ。
同園は17年に県が公表した「再生基本構想」に基づき、従来の相模原市緑区千木良に「津久井やまゆり園」、仮移転先の横浜市港南区芹が谷に「芹が谷やまゆり園」(仮称)として整備する。2園とも定員66人で、いずれも11人が暮らすユニットを6カ所持つ建物を新設する。
津久井は今年1月に居住棟の工事がスタート。20年度は新築工事費として28億6200万円を計上し、建て替えと改修工事を実施する。命を奪われた19人を弔う鎮魂モニュメント整備には787万円を計上した。芹が谷は仮移転先の隣接地に整備し、今夏に着工する予定。整備維持管理費は12億32万円を見込む。
ただ、着々と進む施設整備に影を落としているのが、やまゆり園の運営を巡る問題だ。