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日本将棋連盟指導棋士五段、本紙将棋担当記者
将棋のはなし(45)賢く見える?「図南鵬翼」

カルチャー 神奈川新聞  2018年02月22日 13:21

【2018年2月18日紙面掲載】

 棋士はいろいろな場面でサインをする。イベントでのサイン会はもちろん、著書や扇子に頼まれるケースとか、大会の賞品用とか、宅配便の受け取りとか。最後のは棋士に限らないか。

 スポーツ選手や芸能人と違い、毛筆で熟語と段位、名前を書くのが慣例だ。これも仕事の一つで、書道を習う棋士も多い。

 私も奨励会での修業時代、教室のお客さんなどからよく頼まれた。「将来価値が出るだろうから」などとお世辞を言ってくれるのだが、半人前の立場としては抵抗があり、基本的には「プロになったらその時に…」とかわしていた。

 指導棋士になった後も含め、断り切れずに汚い字で筆ペンを走らせた色紙は10枚ぐらいか。ほとんど現存しないだろう。ちなみに県内の某将棋道場にはまだ飾ってあるはず。恥ずかしいからこっそり外してこようかな。

 迷ったのはどんな言葉を書くか。「努力」ではありきたりな上に実体が伴わない。「一歩(いっぷ)千金」はいかにも将棋だが、それだけに多くの棋士が使っている。

 私は四字熟語辞典で調べて「図南鵬翼」を選んだ。「となんほうよく」と読む。知る限りこの業界では見たことがない。それに何だか難しそうで、これを書けば賢く見えるはずだと思った。

 意味ですか? 知りたければ自分で調べましょう。「聞くはいっときの恥、聞かぬは恥かかない」です。決して説明できないわけじゃないので、誤解しないように。


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