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大涌谷・自然研究路が全面再開に道 噴石対策のシェルター整備へ

社会 神奈川新聞  2018年02月21日 12:15

展望スペースの付いたシェルターのイメージ図(県提供)
展望スペースの付いたシェルターのイメージ図(県提供)

 火山ガスの影響で立ち入り規制が続く箱根山・大涌谷(箱根町)の「自然研究路」(総延長約700メートル)の利用再開に向けた安全対策工事が、今月中にも始まる。これまで未整備だった噴石対策のシェルターを県が7カ所新設するほか、ガスの影響などで傷んだ散策路を修復する。地元の観光関係者らが待望する大涌谷全面開放への大きな一歩となるが、一帯は依然としてガス濃度が高く、規制解除の時期は見通せていない。

 対策が講じられるのは、箱根ロープウェイ大涌谷駅を中心とした大涌谷園地の南側エリア。県は関連事業費として2017年度予算に約1億円を計上し、工事が本格化する18年度の当初予算案にも約1億7千万円を盛り込んだ。噴煙地が間近の研究路一帯は、ガスの濃度が安全なレベルにまで低下しておらず、16年7月の園地の部分開放後も立ち入りが禁じられている。

 利用再開に向けた環境整備として、最大で広さ約75平方メートルの鉄筋コンクリート製シェルターを約100メートル間隔で7カ所に設置し、突発的な噴火に備える。このうち大型の2カ所については、日頃は上部を展望スペースとして利用。噴火時は中に逃げ込み、噴石から身を守れるようにする。立ち入り規制以前の研究路の利用実績を加味し、7カ所で計780人分の避難スペースを確保する。

 名物「黒たまご」の蒸し場などがある研究路はガスの影響や経年劣化でひびが入り、手すりが折れた所もある。18年度に再整備し、過去の土石流被害で通行できなくなっている箇所も含めて修復。一部で噴気孔から離れたコースに変更し、安全面に配慮する。これに伴い、研究路の総延長は約800メートルに延びる。

 一連の対策工事は、誘導看板を設置する19年度に終える予定だが、ガスの状況次第では工事が計画通りに進まず、完了時期がずれ込む可能性もある。県自然環境保全課は「工事関係者の安全確保も欠かせず、ガスの検知器を携行して作業してもらうことになる」と工事の難しさを説明。「シェルターは噴石から一時的に逃れるための施設で、ガスを防ぐものではない。利用を再開するには、これらハード整備だけでなく、避難対策などソフト面の取り組みも進める必要がある」としている。

 園地内のある事業者は「全面再開を見据えた動きはありがたい」と歓迎しつつ、「緊急時にどう対応すべきかまだ分からない」とし、今後の検討を注視する構えだ。

避難マニュアル修正へ


 県や箱根町などは20日、箱根山火山防災協議会を県庁で開き、安全対策の推進を柱とした2018年度の取り組み方針を決定した。大涌谷の全面再開を視野に避難誘導マニュアルを修正するほか、火山ガスの危険性に関する周知を強化する。

 また、箱根ロープウェイ大涌谷駅舎の拡張により、受け入れ可能な避難者数を増やすほか、実践的な誘導訓練も実施する。

 協議会会長の黒岩祐治知事は「ガスによる人的被害は発生していない。観測・監視をしっかりと継続していく」と強調。副会長の山口昇士箱根町長は「ガスへの対応は長期化するだろうが、観光客に安心してお越しいただけるよう安全対策を継続、強化したい」と述べた。
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自然研究路とシェルターの設置予定場所
自然研究路とシェルターの設置予定場所

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