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火口観光 安全と両立 箱根ロープウェイ

社会 神奈川新聞  2018年02月14日 13:36

救急用品が置かれている箱根ロープウェイのゴンドラ。今後対策が強化される =昨年11月
救急用品が置かれている箱根ロープウェイのゴンドラ。今後対策が強化される =昨年11月

 火山ガスの影響で部分的な開放にとどまっている箱根山(箱根町)の大涌谷を通る箱根ロープウェイ(小田原市)の運行停止基準の運用が見直されることが13日、決まった。現在は二酸化硫黄(SO2)の濃度が0.2ppm以上で運行を見合わせているが、15日から5ppm以上に変更する。同社は見直しに合わせ、利用客の体調などに影響がないようゴンドラ内の安全対策を強化する。

 13日に小田原市内で開かれた、箱根町や県などでつくる箱根山火山防災協議会の幹事会で町側が見直しを提言し、了承された。

 同社はこれまで、ゴンドラ5基と大涌谷駅舎2カ所で火山ガスを計測。火山活動の沈静化に伴う2016年7月の運行再開後は、慎重を期すため、ゴンドラ、駅舎にある計測器のいずれかで二酸化硫黄(SO2)の濃度が0・2ppm以上となった場合に運行を停止していた。運行ストップは、今月12日までで91日間計108回あったという。

 再開後の1年半余りで安全対策が整うなどしたことから基準を見直し、15日からは同協議会が定めた避難マニュアルに沿う形で5ppm以上となったときに運行を止めることにする。停止回数の減少が見込まれることから、同社は対策としてゴンドラ内に常備する酸素吸入器やウェットシートなどを増やし、利用客への注意喚起も強化するという。

 町や県によると、これまでのSO2の最高値は園地内で1・9ppm、ゴンドラ内で0・7ppm。町は「これまでにガスの影響で体調を崩したケースは把握していない」としている。

 園地内のある事業者は今回の見直しについて、「ロープウェイの運休が売り上げに影響することはあったが、まだ火山ガスは出ているので引き続き注意したい」と冷静に受け止めた。

新たな集客の目玉、備え必要 終息なお 続く警戒


 2016年7月以降、厳しい火山ガス規制が敷かれてきた箱根山(箱根町)の大涌谷で、一定の緩和策が講じられることになった。新たな目玉となった「火口観光」の集客増へ弾みとなるが、火山活動は完全には終息していない。ぜんそくや呼吸器疾患などがある人の立ち入りは引き続き禁じられており、専門家は火山ガスや噴石への警戒を緩めないよう呼び掛けている。

 今月5日、大涌谷の展望スペース。残雪の広がる斜面から立ち上る噴煙に多くの観光客が見入り、記念撮影を楽しんでいた。

 吹き下ろす風で時折視界が開けると、点在する火口や噴気孔が間近に見える。いずれも15年6~7月に起きた観測史上初の噴火で形成されたもので、「黒たまご」で知られる大涌谷園地の新たな名物として外国人観光客にも人気が高い。


火口などから噴気が続く大涌谷。斜面には噴火当時の噴石も残る=5日
火口などから噴気が続く大涌谷。斜面には噴火当時の噴石も残る=5日

 気象庁が運用する5段階の噴火警戒レベルは、同年11月から最低の1(活火山であることに留意)が継続している。

 「昨年は火山活動の活発化につながるような変化はなく、地震活動も低調だった」。県温泉地学研究所の本間直樹火山対策調整官はこう話すが、ハイキングコースなどがある一帯はガスの濃度が今も高く、立ち入り規制は解除されていない。

 規制エリア内でガスの定点調査を続ける東海大の大場武教授は「噴気の勢いは収まっておらず、風向きによってはせき込むこともある。ガス対策は引き続き必要」と指摘する。

 一方でこの間、監視カメラや地震計、衛星利用測位システム(GPS)などの観測網は充実し、噴火やその徴候をいち早く検知する態勢は整った。だが、群馬県の草津白根山と同じような突破的な噴火のリスクもあり、飛散する噴石への備えも不可欠となっている。


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