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「忘れられない夜に」 LUNA SEAツアー開幕 インフルでダウンのSUGIZO全快

カルチャー 神奈川新聞  2018年02月13日 12:51

地元・神奈川からツアーを開始したLUNA SEA(左から)J、INORAN、RYUICHI、SUGIZO、真矢
地元・神奈川からツアーを開始したLUNA SEA(左から)J、INORAN、RYUICHI、SUGIZO、真矢

 メンバー5人全員が神奈川出身のバンド「LUNA SEA」が2月、約3年ぶりの全国ホールツアーをスタートした。1月末にギター・バイオリンのSUGIZO(48)がインフルエンザを発症したため、27・28日の千葉・松戸公演は5月に延期。満を持して臨んだ地元ライブでは、舞台を所狭しと駆け回り全快をアピールした。

 「おかえりなさい!」

 開演予定時刻を18分ほど過ぎて落とされた照明。カルッツかわさき(川崎市川崎区)のステージに3日、「高熱でダウンした」と報じられていたSUGIZOのシルエットが浮かび上がると、待っていましたとばかりに、大きな歓声がその影を包んだ。

 「愛」をテーマに4年ぶりに発表したアルバム「LUV(ラブ)」を引っさげて、全国9カ所を巡る。ツアーはアルバムの1曲目に収録した「Hold You Down」で幕を開けた。その始まりを祝福するように、まばゆい光が会場を照らした。


 ギターのINORAN(47)と、ベースのJ(47)が組んでいたバンドに、ドラムの真矢(48)とSUGIZO、そしてボーカルのRYUICHI(47、当時はRAYLA)が加わり、1989年5月29日に、いまの5人が誕生した。東京・町田のライブハウスで、30人ほどの前で音を奏でたことが旅の始まりだ。

 闇に紛れるように黒い衣装で身を固め、威嚇のためメークをし「ばかにされてたまるか」と牙をむいていた当時、抱えていたうっぷんは、音にぶつけていた。

 ライブでは、新たに放った12曲とともに、20年以上前に生んだ曲も織り交ぜる。激しく刻むギターは、あの日の衝動を一瞬で思い出させるが、時間を浮き上がらせることない。SUGIZOが「時空を超える曲を書いてきた」という自負通り、生きているバンドとして、進化と深化を繰り返していることを体現し続けている。アレンジを変えて披露された「I for You」はポルトガルで愛されているファドのような哀愁に満ちていた。

 デビュー25年を迎え、円熟期にあるが、RYUICHIは「全カ所、上を目指す」と貪欲だ。40代後半のいまだから生み出せた曲。中でもギリギリと絞り上げるSUGIZOのバイオリンの音が印象的な「闇火」は、曲折を経て活動を再開したいまの5人が奏でるからこそ説得力がある。

 「痛い」だけでは、表現できない叫びを、音で膨らませていく。しかし、その音も生まれては消えるはかないもの。それでもつかもうと見えた一筋の光のようなバイオリン、その孤独に寄り添うようなベース。まだ踏み切れない思いをギターが表現していく。終盤には自分の体を抱えたとき、両手に感じる心臓の音のようなドラムが響く。そしてそのすべてをまとめ上げるのが、表現力豊かなRYUICHIの歌声だ。

 真っ赤に染まったステージでは、自らも燃やし尽くすようなパフォーマンスで圧倒した。曲は演奏を重ねるたびに、また新しい表情を見せていくだろう。

 「ずっと忘れられない夜にしよう」。RYUICHIが満員の客席に向かって呼びかける。二度と戻ることない、いまを共有しよう。SUGIZO、INORAN、Jは客席通路に降りて、客の目前で演奏を続けた。車いすエリアにいた観客に、そっと近づいてその手のひらに使っていたピックを握らせたSUGIZO。拳を振り上げて声援を送る男の子の頭を抱き寄せ、自らのおでこにくっつけたINORAN。客の前にひざまずいて音を奏でたJ。忘れられない夜をともに。

 ツアーは宮城、広島、福岡とめぐり、5月23日・24日の千葉まで続く。








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