横浜市が主催する、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致に関する市民説明会の1月の日程が終了した。1月は南、旭、保土ケ谷、港南の4区で開催。年末に、収賄容疑でIR担当副大臣を務めた現職国会議員が逮捕されただけに、事業への不信感が市民の間に広がっていることをうかがわせる質問も挙がった。
説明会の構成や質問への回答方法に変更はなかった。政策局所管の小林一美副市長に代わり、都市整備局IR推進室所管の平原敏英副市長が登壇した。
「IRの中核はカジノ。金の回りに悪徳がたかる。この辺りで誘致の中止を宣言し、市民に負担を強いる『賭け』をやめませんか」
「横浜で、このような問題が起きないと約束できるか。具体的な対策は」
年明け最初となった1月17日の南区では、汚職事件を踏まえた質問が相次いだ。
「あってはならない。大変な怒り、懸念を感じている」
林文子市長はこう所感を述べた上で、IR事業者との面談は必ず複数の職員で行い、記録を残すといった市が定めたルールを紹介。公平、公正を強調した。
共通して多かったのは、カジノなしでは事業が成り立たない理由や、市が示す増収効果などの金額の根拠を問う質問だ。
28日の港南区で、市長は事業者の投資額が1兆円規模に上るとの見通しを示し、「(IRを構成する)国際会議場はスケールも大きく、運営には相当な費用がかかる」と説明。「カジノが入っての統合型リゾート」と理解を求めた。
数字の根拠については、平原副市長が市長に代わって答えた。副市長は、事業者が提出した金額を監査法人と確認しており、820億~1200億円の増収効果など幅を持たせているのは事業者の規模が違うためと説明。事業者と区域整備計画を策定する際には、より精査したものを公表するとした。
昨年12月と比べ、会場から厳しい声が飛ぶ場面は減った。それでも1月20日の旭区では、副市長がギャンブル依存症対策に取り組む姿勢を示すと、「カジノ依存は市長でしょ!」とやじが飛んだ。
2017年夏の市長選で「白紙」を掲げながら誘致を表明した市長に、考えを変えた理由や民意を問おうとしない姿勢をただす質問も変わらず目立った。
23日の保土ケ谷区で、市長が「白紙」とした期間に「さまざまな意見をうかがった」と語ると、会場から「えー」とどよめきが起きた。
これで、説明会は18区のうち、10区で終了した。
1月説明会参加者数
4区の市民説明会の参加者数と、質問書の枚数は次の通り。
▽南=326人、222枚
▽旭=291人、212枚
▽保土ケ谷=248人、156枚
▽港南=255人、174枚