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臨海部、30年先見据え ビジョン検討開始 持続的発展へ理想像求め

政治行政 神奈川新聞  2016年10月08日 12:00

臨海部の現状について有識者らと福田市長らが意見を交わした初会合=川崎市役所
臨海部の現状について有識者らと福田市長らが意見を交わした初会合=川崎市役所

 川崎市が、臨海部の目指すべき将来像を示す「臨海部ビジョン」の検討作業をスタートさせた。産業構造の転換期にある臨海部について30年先を見据えた理想像を描き、直近10年間で取り組むべき方向性や事業を取りまとめる予定だ。

 同ビジョンは地域が持続的に発展するために市と立地企業が地域の理想像を共有し、取り組むことが目的。石油、鉄鋼業界の経営統合や製造機能の海外移転といった近年の変化も踏まえ、立地企業の意向を反映させながらまとめる。

 学識経験者4人と市長、副市長らによる有識者懇談会を中心に検討し、来年2月に中間とりまとめを行い、2018年2月に策定する。立地企業が操業しやすい環境づくりや、土地利用の多角化なども検討する予定だ。

 涌井史郎東京都市大学特別教授を座長とする有識者懇談会は今月5日に初開催。福田紀彦市長は「川崎、日本にとっても大切な臨海部が今後も競争力のある地域であり続けられるよう方向性を決めていきたい」とあいさつした。

 川崎駅から南側の約2800ヘクタールに及ぶ川崎の臨海部は、石油コンビートや化学工場が集積する浮島・千鳥町地区▽国内最大級の製鉄所のある扇島地区▽物流倉庫が集まる東扇島地区▽研究開発拠点が集積する殿町地区-などで構成される。

 初回の懇談会では、橘川武郎・東京理科大大学院教授が「世界的な鉄余りがある中で製鉄所がどうなるか、石油業界の経営統合でエチレンセンターがどうなるか。大きな変化となる可能性がある」と指摘。平尾光司・昭和女子大特任教授は「戦災、公害、産業空洞化の危機を乗り越えてきた立地企業の意向をしっかり聴取する必要がある」と強調した。
 
 涌井教授は「羽田空港に隣接した川崎臨海部は空と海の港を兼ね備えており、非常に国際化しやすい点が特徴だ。もっと楽しいエリアになる」と地域の発展に期待を込めた。

京浜臨海部の歴史
▽1913年  実業家の浅野総一郎が大型船が泊まれる港の整備、川崎と横浜の臨海部埋め立てに着手した
▽1950年代 企業誘致が進みコンビナートが形成された
▽1960~70年代 公害問題が顕著となり、気管支炎やぜんそくが発生。市民運動が高まり環境規制が強化され、工場の排煙対策や環境技術が向上した
▽1990~2000年代 企業のグローバル化や経営統合を受け、工場撤退による空洞化の懸念が強まった
▽現在 自動車工場跡地だった川崎区殿町地区への研究機関集積や水素社会実現に向けたプロジェクトなどが進み、新しい産業の核づくりが動きだしている


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