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FLATな社会へアートで自立支援 川崎・幸区に活動拠点

話題 神奈川新聞  2020年01月26日 11:06

障害のあるアーティストたちの作品を手に、笑顔を見せる大平さん(左から2人目)らFLATのスタッフ=川崎市幸区
障害のあるアーティストたちの作品を手に、笑顔を見せる大平さん(左から2人目)らFLATのスタッフ=川崎市幸区

 知的障害のあるアーティストたちのための活動拠点が今月、川崎市幸区に誕生した。障害者通所施設などでアート作品の創作活動を後押ししてきたNPO法人が自前のアトリエを開設。一角にはギャラリースペースも備えており、作品の展示や販売を行いながら作家個人の自立を支援していく。

 白を基調とした明るい内装のアトリエに、ギャラリースペースではだいだい色の優しい光が作品を照らす。隔てる壁は自由に使える黒板になっており、作家の創作意欲をかき立てる。

 生活介護事業所「studio FLAT(スタジオフラット=以下FLAT)」。JR新川崎駅から徒歩約10分の位置にある複合施設「コトニアガーデン新川崎」内で、1日にオープンした。まるで都会のおしゃれなカフェのような空間は、従来の福祉事業所のイメージからは程遠い。

 「365日ずっと居心地の良い場所にしたかった。障害に関係なく、純粋に作品が評価されるようなアーティストがここから生まれてほしい」。理事長の大平(おおだいら)暁さん(48)はそう夢を膨らませる。団体名にもなっているFLATには「障害の有無にかかわらず、みんながフラットな社会に」との思いが込められている。

 多摩美術大学出身の大平さんは、同区内の障害者通所施設で絵画講師を務めていた。障害者たちが描く個性豊かな作品の数々にアートとしての可能性を見いだし、制作のアドバイスや展示会の開催などでアート活動を支援する団体を2016年に設立。19年5月にはNPO法人格を取得した。

 これまで1人で活動を続けてきた大平さん。特別支援学校へ出張指導に赴くたびに「才能の原石がたくさんいるのに、絵画を続けたくても行き場がなかった」と、拠点の必要性は感じていた。そんな大平さんの理念に共感し、美術商や福祉の経験者など5人の常勤スタッフが集まって、ついに開所へとこぎ着けた。

 現在は本格的な受け入れに備えているが、もともと大平さんと共に活動してきた作家ら7人の利用が決まっている。4月には特別支援学校の卒業生も迎えて定員20人のうち十数人に達する見込みだ。近日中にはギャラリースペースに誰もが出入りして作品の鑑賞や購入もできるようにする。

 週3日はアート制作に集中できる時間を設ける一方で、近隣の清掃や近くの飲食店での就業体験など積極的に社会との接点を持ち、障害者と地域の「共生」を目指した活動も取り入れる。絵を描くことが苦手でも、優劣をつけずに一人一人の個性を尊重する仕組みも持たせるつもりだ。

 将来的には第2、第3のアトリエを設けたいといい、「創作活動だけで暮らせるようなプロのアーティストを支援する環境づくりをしていきたい」と大平さん。「『障害者アート』などという呼び方はもうやめにしてほしい。素晴らしい作品が、フラットに届くべき人たちに届く。そんな社会にしていけたら」

 問い合わせは、FLAT電話044(200)4664。


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