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レコード寄付、横浜からも
響け復興の調べ 被災7年、岩手のジャズ喫茶再開へ

社会 神奈川新聞  2018年01月30日 11:43

津波で流されたジャズ喫茶の再開予定地で復興への願いを語る冨山勝敏さん=岩手県陸前高田市
津波で流されたジャズ喫茶の再開予定地で復興への願いを語る冨山勝敏さん=岩手県陸前高田市

「しゃれたまちに」冨山さん


 東日本大震災の津波で岩手県陸前高田市のジャズ喫茶「h.イマジン」を店ごと流された店主の冨山勝敏さん(76)が今年、店を再開する。かさ上げ地に新店舗を建設、早ければ10月にもオープンさせる予定だ。被災直後に横浜市民らから贈られ、仮設住宅に眠るレコードは、再開を期して出番を待つ。冨山さんは「復興に向かう被災地の人たちに、本物のジャズとコーヒーを味わってほしい」と語る。

 2011年3月11日、店は津波で全壊し今年、7年を迎える。流された店の近くで約12メートルかさ上げされた用地約370平方メートルの入手にめどが付き、準備を進めている。既に開業した大型商業施設や市立図書館から間近で、中心市街地が壊滅した陸前高田の新しいまちの中心部になる。

 ジャズ愛好者の知人が店を設計。2階建て延べ約100平方メートルの1階をジャズ喫茶にして、寄付されたレコード、高級アンプやスピーカー、グランドピアノを置き名曲を流す。2階は復興ボランティアが宿泊できるスペースにする。

 冨山さんは「多くの人が悲しみからやっと前を向き始めた。もうすぐ喜寿の自分も願いを実現できる。気の置けない仲間が集まる店にしたい」と願っている。

 店を失った後も、「あの日を忘れず」と前を向き続けた。12年3月11日に隣の大船渡市で仮店舗を開いたが音量への苦情から約1年半後に閉店。14年3月11日には陸前高田市の店の跡地でボランティア宿泊用のバンガローを始めたが、かさ上げ工事の対象地域に指定され15年10月に閉鎖した。工事は今年終了する。

 都内の大手ホテル勤務から経営コンサルタントに転じ、定年後に大好きなジャズ喫茶を開くため妻子と離れ、03年から陸前高田に住む。いまは現役時代の経験を買われ、地元のロータリークラブや町内会からまちおこしの相談を受ける。

 「新しいまちにどれだけの店が戻るか分からないが、個性やアイデアを生かして生きていくしかない。陸前高田はしゃれたまちだと思わせたい」

 大震災当時、地元紙の河北新報が冨山さんの被災を伝えた記事を神奈川新聞が転載。横浜を中心に全国からジャズレコードやCDが約6500枚贈られた。同じ曲など一部は人に譲るなど整理し、いまも大切に保管する約3千枚を新しい店で流す。再開したときの1曲目は、米国の女性ジャズ歌手ヘレン・メリルの曲を流すと決めている。「人生を重ねた大人の女性の歌だから」と。


ジャズ愛好者の知人が描いた新しい店の設計図
ジャズ愛好者の知人が描いた新しい店の設計図

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