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成人式返ってこない 遅い弁明、怒りの声 はれのひ社長会見

社会 神奈川新聞  2018年01月27日 10:42


時折唇をかみながら報道陣の質問に答える「はれのひ」の篠崎洋一郎社長=横浜市中区
時折唇をかみながら報道陣の質問に答える「はれのひ」の篠崎洋一郎社長=横浜市中区

 8日の成人の日に問題が発覚してから初めて公の場に姿を現した「はれのひ」の篠崎洋一郎社長(55)。「取り返しの付かないことをした」。約200人の報道陣を前に、ときに目を泳がせ、ときに声を震わせて反省の弁を述べながらも、「隠れるつもりはなかった」「だますつもりはなかった」と弁明に終始した。被害を受けた新成人や保護者からは「今すぐお金を返してほしい」「悪意しか感じない」などと、怒りの声が相次いだ。

 2年前から試着など準備を重ねた大学2年の女子学生(20)=横浜市神奈川区=は着物が届かず、式への出席を諦めた。「今謝られても成人式の時間は返ってこない」。毎日のように騒動を思い出しては涙を流していたといい、「今更、振り袖が返ってきても着るチャンスはない」と声を落とした。

 式前日に急きょ別の業者を手配して間に合わせた大学2年の女子学生(20)=同市金沢区=の父親(50)は「本当に心が痛んでいたのならば、前日までに連絡するとか何かできたはず」と憤る。「何年も前から準備してきた親の気持ちや楽しみにしていた新成人の気持ちをどうしてくれるのか。どんなに説明されても悪意しか感じない」と声を荒げた。


大勢の報道陣が集まった「はれのひ」の会見=26日夜、横浜市中区
大勢の報道陣が集まった「はれのひ」の会見=26日夜、横浜市中区

 「もっと早く出てこいよと思った」と怒りをぶつけるのは、茨城県の大学1年の女子学生(19)。来年の成人式用に約30万円を振り込んだが、「もう、(予約した)はれのひの振り袖への気持ちは薄れてしまった」。「着物が返ってくるより、今すぐにお金を返してほしい」と訴える。

 女子学生は母子家庭で、30万円は簡単に出せる金額ではない。母親は「どうにかするから」と代わりの振り袖を一緒に探してくれた。「社長は被害にあった一人一人の色々な気持ちを考えてほしい」。女子学生は強い口調で訴えた。

一問一答主なやりとり 隠れるつもりなかった


 


会見で頭を下げる「はれのひ」の篠崎洋一郎社長=横浜市中区
会見で頭を下げる「はれのひ」の篠崎洋一郎社長=横浜市中区

 主な一問一答は次の通り。

 -なぜ今まで雲隠れしていたのか。

 「どのように対応して良いか分からなかった。県内の知人のところに一人でいて、隠れるつもりはなかった」

 -経営が立ちゆかなくなると意識し始めたのは。

 「昨年4月ごろ、仕入れ先の支払いが通常通りにいかなくなったころ」

 -詐欺に該当するという認識は。

 「社員も私も必死でぎりぎりまで営業していた。そんなつもりは毛頭ない」

 -現時点で負債の返済に充てられる資産は。

 「会社の資産はない。個人預金も数十万。会社に契約されていない約200点の着物や帯がある。資金ができるのであれば慰謝料も支払いたい」

 -式当日、泣いている女性に心が痛まなかったか。

 「一生に一度の日に素晴らしいサービスを提供し、お嬢さまや家族に喜ばれる事業に携わるビジネス。毎年、成人式が終わると感無量だったが、今回はできなかった。式前にお客さまに連絡すべきだった。急激な出店、コスト増、経営の判断を私が間違えた」

 -自分の家族に被害者がいたら。

 「怒る。残念な思いでいっぱい」

 -自分の娘の成人式には何を着てほしいか。

 「振り袖、そう思う」

はれのひ社長会見全文



 「はれのひ」の篠崎洋一郎社長が会見で語った主な内容は次の通り(弁護士の補足説明についてはカギ括弧の前に弁護士と表記)。

【代表者による経緯報告とおわび】
 「お客さまをはじめ、各お取引先様に多大なご迷惑、ご心配をお掛けしたことを、ここで深くおわび申し上げます。申し訳ございませんでした」

 「また、本日まで説明が遅れたことをおわび致します。今般、弊社がこのようなことに至った経緯について、ご説明させていただきます。私は、はれのひ株式会社を平成23年3月に設立し、横浜店を皮切りに一時は6店舗まで拡大してまいりました。急激な出店により人件費コストなどが拡大し、平成28年9月期には大幅な赤字となりました。その後、新たな融資やリスケジュールのお願い、M&Aの実現に向けての取り組みなど、対策を行ってまいりましたが、売上の減少に歯止めが掛からず、成人式当日着付けの費用の支払いのめどが立たず、このような事態となりました」

 「最後に、お嬢さま、ご家族さまの一生に一度の成人式を台無しにし、本当に取り返しのつかない事態になってしまったことは、代表取締役である私にすべての責任がございます。本当に申し訳ございませんでした」

 「今後、破産手続開始により、最善の対応をいたしたく存じますが、お客さま債権者の皆さまに、ご迷惑をお掛けすることになりますことを深く、深くおわび申し上げます」


【報道陣との質疑応答】
 -成人の日から18日がたった。なぜ今まで雲隠れしていたのか。どこで何をしていたのか。どんな気持ちで逃げていたのか。

 「対応に苦慮していて、事の重大さは分かっていたが、どのように対応したらいいか分からず、その時点では弁護士先生がまだ決まっていなかったので、相談するところもなく、非常に重大なことになっていることに気付いていたが、今日の今日に会見がなってしまった」

 「毎日、とても寝られるような状態でない精神状態でずっと過ごしていた。成人式を迎えられなかったこと、お嬢さま、ご家族さまのことを思うと、非常に心が痛む日々だった。今回弁護士先生が決まり、相談して、そこで調査などに時間が掛かり、今日に至ってしまった。どこにいたかということに対しては、知人のところにいて、隠れるつもりはなかったが、そのように見えたことで世間をお騒がせしたことは申し訳なく思っている」

 -経営がこのままでは立ちゆかなくなると意識し始めたのはいつごろか。

 「(昨年)4月になる。仕入先の支払いが通常通りにいかず、商品が止まり、自社在庫でやっていた。当然、自社在庫で、見合った売上が取れるところまでいかず、そのころから、どこかで売上が上がるということで社員も頑張っていた。商品量の不足によって社員のモチベーションが低下したり、ということが起き始めたのがゴールデンウイーク前ぐらいから。そこからは非常に危機感を感じていた」

 -そういった状況にもかかわらず、注文を取り続けていたのは詐欺にあたらないか。

 「そういうつもりではなかった、正直」

 -振り返ってみて詐欺の可能性をどう捉えるか。

 「必死で社員も私も営業をかけていた。そういうつもりは毛頭なかった」

 -当日までの間で、直近、最後の注文はいつか。

 「確か12月の中旬ぐらい」

 -相当厳しい状況

 「そうですね」

 -それでも注文を取り続けたのか。

 「今振り返るとそこで止めておけばよかった。やはりお店が営業していると、お客さまをお断りするわけにもいかず」

 -預かっていた着物を転売しているのではとの一部報道があったが事実か。

 「一切ございません」

 -全部残ってる。

 「ある」

 -1月8日、成人式当日、この日はどこで何をしていたのか。

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