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野宿者私物を無断で廃棄「命に関わる」

社会 神奈川新聞  2018年01月10日 10:20

放置物を廃棄すると首都高速道路公団が掲げた警告。その日のうちに毛布などが撤去された=横浜市中区の横浜スタジアム近く
放置物を廃棄すると首都高速道路公団が掲げた警告。その日のうちに毛布などが撤去された=横浜市中区の横浜スタジアム近く

 ホームレスが寝泊まりする横浜市中区の横浜スタジアム周辺で、ホームレスの所有物が無断で処分される動きが進んでいる。支援団体からは「ホームレスの生活と生命を脅かす重大な人権侵害だ」と批判の声が上がっている。

 首都高速道路会社(東京都千代田区)は5日、首都高高架下の道路脇に置かれた毛布や身の回り品が入ったかばんを「廃棄する」として予告なく撤去した。同社が同日付で道路脇の金網に掲げた「警告」には「放置物があった場合は、ただちに撤去し、廃棄します」と記されていた。

 寿支援者交流会(横浜市中区)の高沢幸男事務局長(47)によると、ホームレスの男性2人が5日夕、毛布やかばんを同社に持って行かれた、と申し立てた。

 神奈川新聞社の取材に対し、同社は事前の通告なく毛布などを撤去したことを認めた。4日に同所に人がいるとの情報を受け、「首都高の出口に近く、道路を歩くと危険なため、市などと相談せず独自に判断した」と説明した。

 同じ高架下にある市営駐輪場でも昨年12月上旬から、「(毛布などを)放置した場合は処分します」と記された「注意」が掲げられた。管理する市交通安全協会(同区)は「先月上旬まで野宿していた人がいたので中区役所と連携して退去をお願いした」とする。

 ホームレス支援に当たる市援護対策担当は「現段階では事実関係が分からない」として関係者から詳しく事情を聴き取る方針。市の担当者は「(厳冬期に)毛布がなければ命に関わるのは明らかだ」と語った。

「命関わり言語道断」


 首都高速道路会社がホームレスの毛布などを事前に告知せずに撤去した翌6日朝、横浜の最低気温は0・4度を記録した。寿支援者交流会の高沢幸男事務局長は「凍(い)てつく路上で野宿をする人たちの毛布を奪うのは言語道断。福祉部局と連携してホームレスの生存を脅かすことのないようにすべきだ」と訴える。

 日本弁護士連合会貧困問題対策本部事務局次長の小久保哲郎弁護士は「毛布や衣類の入ったかばんなどはごみではなく私物。手続きを経ずに一方的にごみ扱いして廃棄するのは明らかに違法な財産権の侵害で許されない」と憤る。

 JR大阪駅近くで2003年5月、歩道橋下の柵につり下げられたホームレスの私物を大阪市が事前に告知せずに撤去、廃棄した事案に関わった。「撤去したのが道路上であれば、道路法が定める除去・移転命令、公告、保管・公示、廃棄という手続きを踏む必要がある」と強調する。

 横浜スタジアム周辺では約30人が野宿している。20年東京五輪で野球・ソフトボールの主会場になることもあり、拡張工事が進む。高沢さんは、五輪を名目にホームレスの排除につながることを警戒している。


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