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相談160件 被害総額数千万円か
「はれのひ」16年から支払い滞り 神奈川県警捜査へ

社会 神奈川新聞  2018年01月10日 02:00

人の出入りがなくひっそりとしていた「はれのひ」本部のオフィス=横浜市中区
人の出入りがなくひっそりとしていた「はれのひ」本部のオフィス=横浜市中区

 振り袖の販売・レンタル業者「はれのひ」(横浜市中区)が突然営業を取りやめ、成人の日に晴れ着を着られない新成人が相次いだ問題で、県警に9日夕までに少なくとも160件の相談が寄せられていることが分かった。関係者への取材で、はれのひが着物を仕入れていた業者への支払いが2016年10月ごろから滞っていたことも判明。県警は詐欺容疑などでの立件も視野に入れ、経営実態を調べる。

 県警によると、被害額は十数万から数十万円。被害総額は数千万円に上るとみられる。

 県内各地の消費者トラブルの窓口にも相談が同日夕までに少なくとも計約160件あった。県内の関係機関のほか、警視庁などにも寄せられている。

 県警や各地の消費生活センターなどによると、今年の成人式に関わる相談以外にも「来年(の成人式)用に80万円の着物を購入し、40万円支払った」「(今年)3月の卒業式用と2年後の成人式用の金を支払った」など来年以降に関する相談が寄せられている。

 また、成人式当日以前からトラブルが続発。着付けができなかった新成人からは、ダイレクトメールなどで小物のプレゼントなどの特典を知って申し込んだものの、「プレゼントが届いていない」「前撮りしたアルバムの到着が3カ月遅れた」など経営をいぶかしむ声が複数上がった。

 一方、はれのひからの支払いが滞り、着物を納入していた京都府内の業者が取引を停止していたことも関係者への取材で明らかになった。

 関係者によると、取引停止後、滞納分の支払いはあったが、はれのひ側が「当座の現金がない」との理由で徐々に支払いを減額。未納分は1千万円以上に上るといい、関係者は「社長や会社に連絡が付かず、お手上げ状態だ」と話した。

 東京商工リサーチ横浜支店によると、はれのひの負債総額は16年9月期時点で約6億1千万円。同期の売上高は一部求人サイトなどで4億8千万円としていたが、実際は3億8千万円で、当期利益は3億6千万円の赤字だった。同期末で約3億2千万円の債務超過に陥っていた。

 また「資本金1千万円」と公表していたが、今月9日時点の商業登記簿では150万円だったという。同支店は「売上高や資本金を大きく見せることで、信用性が良く映るよう見せ掛けていたとみられる」としている。

 9日も横浜市中区の本社や店舗は無人とみられ、応答はなかった。同市は同日、市消費生活条例に基づく立ち入り調査のため店舗などを訪れたが、従業員らが不在で実施できなかった。

「激しい怒り」横浜市長


 横浜市の林文子市長は9日の会見で「はれのひ」(同市中区)に対し、「激しい怒りを感じる。社長は早く出てきておわびし、状況を明らかにしてほしい」などと憤りをあらわにした。

 8日の成人式には自身も出席し、式典直前にトラブルの情報を受けたという。「一生に一度、長い時間をかけて準備しただろうに」と被害者を思いやるとともに、急きょ対応した他事業者にも触れ、「優しい気持ちによる協力もあった」と感謝した。


「はれのひ」が着付け会場として予定していた横浜市港北区のホテル前に集まる新成人ら=8日(共同)
「はれのひ」が着付け会場として予定していた横浜市港北区のホテル前に集まる新成人ら=8日(共同)

新成人へ広がる支援 無償提供、被害者の会…


 「はれのひ」が突然営業を取りやめ、「一生の晴れ舞台」を壊された新成人へ支援の輪が広がっている。

 横浜など全国で同業店舗「スタジオキャラット」を展開するキャラット(奈良県)は「記念写真だけでも残してもらえれば」と3月末まで、振り袖のレンタルから着付け、ヘアメイク、スタジオ撮影までのサービス一式を無償で提供する。

 鎌倉などで「きものレンタルwargo(ワーゴ)」を経営する和心(東京都渋谷区)は先着100人限定で、同様のサービスに加え、来年の新成人向けの式当日振り袖レンタルも実施。両店舗とも、はれのひの利用を証明する書類が必要で、成人式だけでなく卒業式向け衣装の被害者にも対応する。

 和心の若槻愛執行役員(33)は「一生に一度の機会に晴れ着を着られなかったという事実にどれだけの重みや痛みがあるか、業界にいればよく分かる。あらためて思い出を作り、着物を嫌いにならずにいてほしい」と話した。

 呉服業界の業界誌を発行する「きものと宝飾社」(京都市)は「被害者の会」の立ち上げを表明。被害者に対し同業者による支援情報の提供を予定する。すでに15社程度から支援の申し出が寄せられているという。他にもツイッターには「私の着物と帯でよければお貸しします」といったメッセージが続々と投稿された。

 行政も動いた。横浜市は9日午後、市消費生活総合センターに特別窓口を開設。通常は必要な予約がなくても窓口相談に対応する。

 NPO法人「消費者支援かながわ」理事長の武井共夫弁護士は「クレジットの債務が残っていても、詐欺被害だと説明すれば信販会社に支払いを止めてもらえる可能性がある。手元にある契約書などの書類はすべて残しておき、まずは消費生活センターに相談してほしい」と呼び掛けている。

 県内のセンターは国民生活センターのホームページhttp://www.kokusen.go.jp/map/ncac_map14.htmlで確認できる。


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