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唯一無二の活動弁士 坂本頼光さん
2月に横浜でサイレントシネマ上映会

カルチャー 神奈川新聞  2020年01月11日 14:05

舞台衣装はフロックコート。「カツベン!」の中で成田凌も着用している。「成田さんは活弁をすぐに自分のものにしていて、独特の雰囲気を醸し出していた。素晴らしい俳優さんです」=東京都内
舞台衣装はフロックコート。「カツベン!」の中で成田凌も着用している。「成田さんは活弁をすぐに自分のものにしていて、独特の雰囲気を醸し出していた。素晴らしい俳優さんです」=東京都内

 横浜市岩間市民プラザ(同市保土ケ谷区)で2月2日、活動写真弁士による語り付きのサイレントシネマ上映会=写真下=が開催される。「岩間シネクラブ特別編」として展開されてきたシリーズの10回目。活弁を披露するのは活動弁士の坂本頼光(らいこう)。シリーズ初回から出演している坂本に、活弁への思いを聞いた。

 今回上演されるのはハロルド・ロイド主演の「ロイドの要心無用」と片岡千恵蔵主演の「一心太助」。「ロイドの作品は、普通の好青年が喜劇を巻き起こしていくのが特徴。時計台にぶら下がるシーンは後の映画にも影響を与えているモチーフ。ハラハラしながら大いに笑ってもらえます。江戸っ子の代名詞である一心太助は、新婚家庭をほのぼのと描いたホームドラマ。新春らしい演目になっていると思います」

 東京の下町で育った坂本は、幼い頃から日本の話芸に親しんで育った。中学生の時、澤登翠(さわとみどり)が口演した「キッド」を見て活動弁士になることを決意。高校を中退し、独学で研究を始めた。戦前の活動弁士のレコードを収集するほか講談や浪曲にも通い、自分の芸を構築していった。

 2000年にプロとしてデビューし、自ら上映会を企画・開催する中で、寄席への出演依頼や、声優としての仕事も舞い込むなど、活動の幅が広がっていった。18年には日本芸術文化振興会の花形演芸大賞金賞を受賞。「自分が好きな演芸の世界で評価されたことはうれしかったです」と充実した表情を見せる。

 無声映画以外にも、昭和20年代の長編紙芝居「猫三味線」を口演するなど多彩な活動を展開。国民的アニメをパロディーにした作品「サザザさん」では自らイラストを描いて映像作品に仕立て、特技の声帯模写を生かした台詞(せりふ)を付けている。活動弁士になる前は水木しげるの弟子になることを志していた坂本。小学生の頃から水木の事務所に通って指導を受けていただけあり、イラストの腕前はかなりのものだ。

 19年に公開された映画「カツベン!」では、主演の成田凌らに活弁を指導した。「特定層だけに向けて作られた邦画が多い中、家族みんなが楽しめる娯楽作品は周防正行監督の真骨頂。参加させてもらって感謝しています」と振り返る。「この映画をきっかけに、少しでも活動弁士に興味を持ってもらえたら」

 今後は、他の活動弁士にも語りをつけてもらえるようなアニメーション作品を制作することを考えている。「語りの台本はそれぞれの活動弁士が執筆するので、同じ映像でも印象が変わるのが活弁の面白いところ。いろいろな活弁を見てもらいたいが、弁士は日本に十数人しかおらず、圧倒的に数が少ない。自分はまだ弟子をとれるほどの器ではないけれど、活動弁士になりたいという若者がいたらできる限り支援していきたいですね」



 午後2時開演、全席指定で1500円、当日1800円。問い合わせは横浜市岩間市民プラザ☎045(337)0011。


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