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主演・草彅剛さんインタビュー
KAATでよみがえる戯曲「アルトゥロ・ウイの興隆」

カルチャー 神奈川新聞  2020年01月09日 13:40

難解なブレヒト作品に「分からなければ分からないほど、未知の自分に出会える」と話す草彅剛=横浜市中区(撮影・立石 祐志)
難解なブレヒト作品に「分からなければ分からないほど、未知の自分に出会える」と話す草彅剛=横浜市中区(撮影・立石 祐志)

 ドイツ演劇の巨匠ベルトルト・ブレヒト(1898~1956年)の戯曲「アルトゥロ・ウイの興隆」(白井晃演出)が今月、横浜で音楽劇としてよみがえる。主演は白井と2度目のタッグを組む草彅剛(45)。ヒトラーをモチーフにしたギャング団のボスという役どころに「ほとばしる悪のパッションを観客にぶつけたい」と意気込んでいる。

 ナチスに追われ30~40年代に米国などで亡命生活を送ったブレヒト。禁酒法下のシカゴのギャング、アル・カポネにヒトラーとの共通点を見つけたことが、本作を執筆する契機となった。問題作と見なされたこの戯曲は58年にドイツで初演されている。

 草彅演じるシカゴギャング団のウイは、政治家の不正行為の情報をつかんだことで徐々に勢力を拡大。周囲が恐れる存在へとのし上がるさまが、生演奏によるショー仕立てで描かれる。

 「あの手この手で人をだましたり悪事をたくらんだり。そういう人間の憎悪を表現しないといけない」と草彅。一方、ジェームス・ブラウンの楽曲がちりばめられる斬新な演出に「非道で残虐な人物をファンクミュージックに乗せて明るく見せるところが面白い」と、その高いエンターテインメント性を強調する。

 原作は独裁者の君臨を許した当時の社会を冷ややかに見つめる。難解なブレヒト作品を前に草彅は「よく意味が分からない」とてらいなく語るが、2年前にKAAT神奈川芸術劇場(横浜市中区)で主演した白井演出の舞台「バリーターク」でも、当初は同様の感触だったという。

 「でも、やってみたらすごく楽しくて。白井さんのおかげで芝居の新しい感覚をつかむことができた。今回も本番が始まったら何かが見えてくるんじゃないかって」。白井に寄せる絶大な信頼を明かしつつ、舞台への期待を込めた。

 SMAPを解散し、稲垣吾郎、香取慎吾とオフィシャルファンサイト「新しい地図」を立ち上げて2年余り。俳優業のみならず、動画投稿サイト「ユーチューブ」で自身のチャンネルを持ったり、SNSを始めたりと自己表現の場をさらに広げる。「新しい扉が開いて毎日がすごく新鮮。年齢をいくつ重ねてもスタートラインに立たせてもらえて幸せです」

 音楽劇である本作にも刺激を受けていると話す。「僕の中に眠る役の魂が音楽によって呼び覚まされることを白井さんは狙っている。きっと観客の皆さんに新しい感動を届けられると思っています」

 残忍な役を楽しめば楽しむほど、作品の奥底に潜む残虐性や社会性を感じ取ってもらえる、とも期待する。「決して正義ではない、ほとばしる悪のパッションをどれだけ皆さんにぶつけられるか。役者人生を懸けて演じます」

 1月11日~2月2日(1月14、21、28日休演)。会場はKAATホール。前売り券は完売。当日券(S席1万円、A席8500円)。各公演日の前日に電話受付を実施。詳細はKAATホームページで。


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