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シラス漁壊滅的 黒潮12年ぶり大蛇行

社会 神奈川新聞  2017年12月24日 12:08

浜に戻った前田さん。この日捕れたシラスはわずかだった=11月21日、材木座海岸
浜に戻った前田さん。この日捕れたシラスはわずかだった=11月21日、材木座海岸

 相模湾でシラスの不漁が続いている。県水産技術センター(三浦市・城ケ島)の調査では、今年の漁獲量を過去5年の平均と比較すると、9月は半減し、10、11月は2カ月連続で8割減。年間では2004年に次ぐ低調となる見通しで、12年ぶりに確認された黒潮の「大蛇行」が大きく影響しているとみられる。今月に入りやや持ち直しているが、過去50年以内の大蛇行はいずれも1年以上にわたって発生しており、今後も予断を許さない。

 「8月下旬から11月下旬まで壊滅的状態だった」。鎌倉市・材木座の漁師前田陽平さん(33)は振り返る。1回当たりの漁獲量は8月上旬までと比べて6分の1ほどに低下したといい、カマスなど他の魚種の漁を増やし、しのいだ。

 県内のシラスの漁期は3月11日~12月末。同センターの標本船3隻(東部・横須賀、中部・鎌倉、西部・平塚)の調査では、8月の漁獲量は過去5年のほぼ平均値だったが、9月は半分となり、秋シラスとしてピークを迎える10、11月はいずれも2割にとどまった。

 同センターによると、過去15年間の年間漁獲量(推定)は、翌年まで大蛇行が続いた04年(約130トン)を除くと、400トン弱~700トンで推移。今年は300トン弱の見通しで、04年に次ぐ低調ぶりだ。

 大きく影響しているとみられるのが、黒潮の大蛇行だ。紀伊半島南端の潮岬(和歌山県)で黒潮が沖に離れ、東海沖で流れの中心が北緯32度より南に位置するのが1カ月以上続く状態をいい、今年8月下旬以降は南に大きく曲がった。

 同センターによると、大蛇行する黒潮が伊豆諸島沿いを北上して北東へ曲がる際、遠心力で西向きに暖流が発生し、相模湾沖から遠州灘沖にかけて波及。北上する距離が通常よりも長いため、暖流の及ぶ範囲も広くなる。一方、シラスは秋から春にかけて西の海域で生まれ、黒潮に乗って東へ向かうため、暖流の範囲に到達。暖流は栄養分が少なく、シラスの餌となるプランクトンが減少するため、シラスが育ちにくくなる。

 また、同センターはクラゲの大量発生も不漁の一因に挙げる。9月中旬~10月下旬に相模湾全域でシラス漁の網にクシクラゲ類が大量に掛かり、漁に影響が出た。重さで網が破損するケースも見られたという。

 海上保安庁によると、同庁の測量船が11月29日から今月1日にかけて観測したところ、黒潮が東海沖で大きく蛇行している部分は11月3日に比べさらに南下。04年に発生し、1年2カ月続いた大蛇行と同規模となった。大蛇行部分が南下するほど長期化する傾向という。

 県内のシラス漁は間もなく禁漁となる。前田さんは「禁漁期間に少しでも(資源量が)回復し、春にはたくさん捕れるようになれば」と期待を寄せている。


漁獲量
漁獲量

蛇行
蛇行

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