県内の企業や経済団体の多くは6日までに、2020年の仕事始めを迎えた。今夏の東京五輪・パラリンピック後には景気の減速懸念がくすぶり、緊迫する国際情勢も経済界に暗い影を落とす。先行きが見通せない中、他企業と連携して成長の道筋を描く県内各社のトップは、時代をリードし、未来を切り開くための心構えを説いた。
低金利の長期化に苦しむ金融業界で昨年、千葉銀行との大型提携が耳目を集めた横浜銀行(横浜市西区)。大矢恭好頭取は行員向けのビデオメッセージで「世の中の変化のスピードは加速度を増している。私たちは発想を変えて大変革しなければならない」と奮起を促した。
同行は今年12月に創立100周年の節目を迎える。「財産はたくさんのお客さまだ。寄り添い、価値を提供する意欲や能力を強く持たなければパートナーとして認めてもらえない」と述べ、「感謝の気持ちを胸に今までとは違う新たな一歩を踏み出そう」と結んだ。
ファンケル(同中区)は昨年、キリンホールディングス(HD)と資本業務提携を締結し、創業者の池森賢二氏が経営から退いた。島田和幸社長は「大きな変化」とした上で、「私たちに求められていることは志を高く持ち、周りをよく見てよく聞き、自分たちで考えて行動することだ」と激励した。
「現状に甘んじて前例を踏襲するだけでは、変化の波に乗り遅れて淘汰(とうた)される」。そんな危機感を示したのは、相鉄HD(同西区)の林英一会長。社員に対し「常に一歩先を見据え、これまでの考え方が正しいのか、徹底的に自問自答してほしい」と求めた。
同社の滝沢秀之社長は、昨年開業した相鉄・JR直通線に触れ、「新たな交通ネットワークが形成された。この大きな変化をチャンスと捉え、積極的に新しい情報や技術を外部から吸収し、新時代を築くために努力してほしい」と呼び掛けた。
今年で創立140周年となる横浜商工会議所(同中区)の上野孝会頭は「節目の年に社会の中で存在感を高めていく必要がある」と強調。誘致を目指すIR(カジノを含む統合型リゾート施設)と、27年の国際園芸博覧会(花博)について、「推進力の主体となって全力を尽くし、成功させたい」と決意を語った。
主な神奈川県内企業トップあいさつ
川崎信用金庫・堤和也理事長 経営理念の制定から50年。目指す「お客さま・金庫・職員の三位一体の繁栄」という考え方は今も受け継がれている。お客さまの夢の実現のため、親身に向き合い、取り組めば信頼を得られる。3年後の100周年に向けた取り組みをスタートさせる。ともに明るい未来を描いていこう。