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「防音後もテレビ聞こえず」 厚木基地周辺NHK補助打ち切り

社会 神奈川新聞  2017年12月23日 11:23

ごう音を響かせながら住宅地の上空を飛行する米軍のジェット機=今年4月、厚木基地
ごう音を響かせながら住宅地の上空を飛行する米軍のジェット機=今年4月、厚木基地

 軍用機の騒音でテレビの音が聞こえなくなる厚木基地(大和、綾瀬市)周辺住民のため、半世紀以上続けられてきたNHK受信料の補助制度。防衛省は22日、天井や壁、窓などへの防音工事を終えた世帯への年約7千円の補助打ち切りを決めた。住民は「防音工事を終えてもジェット機の騒音でテレビの音は聞こえない」と批判。地元自治体が防音工事の効果を検証するよう求めるなど、反発が広がっている。

 「防音工事の効果なんてない」。厚木基地に近い大和市上草柳に住む70代の女性は言い切る。

 女性は30年以上前に川崎市内から夫の仕事の都合で転居してきた。

 住まいは借家で、当時1室のみ防音工事が行われていた。就学前の娘と教育番組を見ていると、ジェット機の音が遮る。「あー」と騒音に負けないように声を上げ、顔をゆがめる娘の姿が傍らにあった。子どもの楽しみの一つが奪われていた。

 防音の追加工事が完了したのは数年前。番組を騒音に遮られずに見られると少なからず期待は抱いていた。午後5時のニュースに大相撲。NHKの番組はお気に入りだが、ジェット機が飛べば、やはりテレビの音は聞こえなかった。

 今年9月、厚木基地を空母に見立てて米軍機が離着陸を繰り返す陸上空母離着陸訓練(FCLP)が行われた。ジェット機が複数機飛べば、間断なく音が降り注ぐ。飛行するとテレビを切るのが日課になっている。

 女性は「防衛省の偉い人たちは一度、ここに住めばよい。生活者の声を聞いてほしい」と話し、ため息をついた。

 防衛省南関東防衛局は22日、地元自治体に補助制度の見直しを説明した。大和、綾瀬両市は反発し、それぞれ防衛相宛てに要請を行い、到底容認できないとの認識を示した。大和市の大木哲市長は「見直しを行う前に新たな基準や住宅防音工事による放送聴取環境の変化等の検証を行うべき」とし、基地近くの世帯への補助継続などを求めた。

 綾瀬市の古塩政由市長は「FCLPによる激しい騒音被害の記憶が新しい市民にとり、今回の見直しは到底納得できるものではない。対象者の縮小を伴う見直しを行わないよう強く求める」とした。


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