スマートフォンやカーナビを使ったり、画面を注視したりしながら車を走行させる「ながら運転」による事故が後を絶たない。県内でもながら運転が原因とみられる死亡事故は今年11月末現在、昨年1年間を上回る3件発生している。携帯端末の使用が日常的になる中、政府は今月1日、ながら運転を厳罰化する改正道交法を施行。県警も啓発に力を入れ、必要な摘発を進める構えだ。
ながら運転は、携帯電話やスマホなどを手に持って通話したり、スマホやカーナビ、カーテレビなどの画面を注視したりしながら車を走らせる行為。県警などによると、こうした運転に起因する人身事故は増加傾向にある。
2018年は全国で2790件発生し、08年(1299件)の2倍以上に増えている。県内も傾向は変わらず、13年は44件だったが、5年後の18年は98件に倍増、今年は11月末までに82件起きている。
うち県内での今年の死亡事故は11月末現在、前年の2件(死者2人)から1件増の3件(死者3人)となっている。
横浜市磯子区の環状2号線で5月、ミニバイクの男性が自損事故で転倒し死亡。男性は携帯電話で通話中に事故を起こしたとみられる。
以降も横須賀市内で相次いで発生。国道134号で7月、自転車に乗っていた高齢男性が、車載のカーナビを注視していた18歳の少年の軽乗用車に追突され、亡くなった。
11月には同市内の丁字路交差点で、横断中の高齢男性が軽乗用車にはねられ死亡。横須賀署の調べで、軽乗用車の男性会社員が直前までタブレット端末のカーナビ画面を見ていたことが判明。男性会社員は「ぶつかるまで気付かなかった」と話しているという。
事故の態様は、18、19年とも約7割が「追突」。機器操作のため、画面を注視することなどが前方不注意につながり、追突するケースが多いとみられる。統計上も画面注視に起因する事故が大半を占めている。
今月施行された改正道交法はながら運転を厳罰化。違反点数や反則金を引き上げ、罰金や懲役刑を重くするなどした。県警交通部は「ながら運転は重大な事故を引き起こす原因になる危険な行為。ドライバーは携帯電話やカーナビの操作・注視が必要な場合は、安全な場所に停止してから行ってほしい」と注意喚起している。