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地域に愛された味、97年の歴史に幕 台風で数千万円被害

社会 神奈川新聞  2019年12月29日 05:00

「店を続けてこられたのも、従業員が支えてくれたから」と感謝する柳川清紀さん(右から2人目)と妻みよ子さん(同3人目)=やなぎ家本店
「店を続けてこられたのも、従業員が支えてくれたから」と感謝する柳川清紀さん(右から2人目)と妻みよ子さん(同3人目)=やなぎ家本店

 秦野市寿町にある老舗の日本料理店「やなぎ家本店」が来年1月31日、閉店する。地元の新鮮な食材にこだわり、親子3代でのれんを守ってきた。だが今年10月に襲った台風19号で店舗が大きな被害を受け、多額の負債を抱えるよりはと、店を畳むことを決断した。地域住民らがお祝いや節目の席に選んだ名店が、惜しまれつつ、創業から97年の歴史に幕を閉じる。

 経営する有限会社「やなぎ家」代表の柳川清紀さん(66)によると、本店は1923(大正12)年に創業。祖父・令次さんが、市内屈指の商業地・四ツ角にある果物販売店で働き始めたのが始まりだ。その後、大衆食堂となり、令次さんが61歳で亡くなった68(昭和43)年、清紀さんの父で同社会長の一朗さん(89)が店を引き継いだ。

 現在の店に建て替えられたのは83年(昭和58)年。店内には、八畳間と六畳間の座敷が用意されている。日本料理店ならではの敷居の高さは感じられず、親しみやすい雰囲気を常連客らが楽しんでいる。

 人気の昼定食、毎月メニューを変えて地場産の野菜やそば、魚介類を提供するコース料理…。丁寧な接客も評判を呼び、本店は確固たる地位を築いていった。

 「お客さんにとって、外食はたまのご褒美。満足して帰ってもらうことを何より大切に考えてきた」

 そう振り返る清紀さんが店を手伝い始めたのは、高校生の時。大学卒業後に調理師免許を取得し、2002年に同社代表に就任。使命感から後を継いだ。

 3代で紡いできた歴史が、間もなく一世紀になろうとしていた今年10月。大型で非常に強い台風19号が県内に上陸。記録的な大雨と暴風が店を襲った。

 老朽化していた鉄筋コンクリート造の建物は至るところで雨漏りし、内壁まで雨水が染み入った。自動ドアも破損。だが、全面改装には数千万円かかると言われた。約2週間後、清紀さんは約40人の従業員に閉店することを告げた。本店の閉店に合わせ、80(昭和55)年から市文化会館(同市平沢)内で営業してきたレストランも来年1月13日に閉じる。

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