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暮らし・つながる森里川海 平塚市
自然と経験、次世代へ 第30回神奈川地域社会事業賞(上) 

社会 神奈川新聞  2017年12月06日 18:04

カヤネズミの生息環境などを説明する臼井理事長(左)=平塚市馬入
カヤネズミの生息環境などを説明する臼井理事長(左)=平塚市馬入

 市民団体の活動をたたえる第30回神奈川地域社会事業賞(神奈川新聞社、神奈川新聞厚生文化事業団主催)の表彰式が、9日に開かれる。受賞3団体のそれぞれの活動を紹介する。

 女の子はススキに似たオギの群生地から顔を出したノウサギを追い掛け、そのそばでは、男の子が「動くバッチだよ」とバッタを載せた上着に笑顔を浮かべている。相模川下流域の河原で開かれた自然体験イベントには、師走の寒風にも負けない歓声が響く。

 「われわれの頃には当たり前のようにあった光景も現代では難しい。自然の中で多くのことを学んでほしい」。自由気ままに野山を駆け、遊んだ、かつての風景に思いを巡らせながら、参加した40代の親はそうつぶやいた。

 主催するのは、NPO法人「暮らし・つながる森里川海」(臼井勝之理事長)。

 河原の護岸工事や河川敷のグラウンド化など都市化が進み、一方で子どもの手には携帯ゲームやスマートフォンが握られている。自然離れの中、環境問題を体感できる遊び場を提供できないか。そんな思いから2001年に前身の「馬入水辺の楽校」を組織し、取り組みをスタートした。

 スローガンは「スマホを置いて野に出よう」。魚を調べたり、バードウオッチングや農業を体験したり、時には山梨県の子どもとの交流会なども開催する。活動は多岐にわたるが、臼井理事長は「トンボの生態調べをしたこの3年間、トンボを捕まえている子は一人もいなかった。自然の多い平塚でこの現状。自然との距離は想像以上に進んでいる」。まだまだ道半ばと危機感をのぞかせる。

 ことしから会員有志の協力を得て、古民家を改修した活動拠点も確保した。「市民団体が横のつながりをつくり、実のあるネットワークを構築したい。環境や自然への関心は、地元への愛着にもつながる」。豊かな自然と、触れ合う体験の大切さを次世代に引き継ぐとの決意を新たにしている。

 ◆NPO法人「暮らし・つながる森里川海」 2001年4月に「馬入水辺の楽校の会」として設立した。都市化が進んだ相模川下流域で、生物の多様性の保全や川の自然と触れ合える場づくり、環境学習活動などに取り組む。ことし5月に運営基盤の安定に向けてNPO法人化した。会員80人。事務所は平塚市見附町。


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